「戦功を立てるのが海軍の仕事じゃないんだ。」

ライは言わば、主な戦闘に参加しない、
本来 世界政府からの命令では、全力でサンジを
オールブルーを守れ、なのに、
何故、家政婦や若いコックの護衛なのか、と部下達から不満が出た。

主戦力の本隊にいれば、例えば、敵の首謀者を捕らえたり、
あるいは敵に大きな損害を与えるような功を立てれば
それを正当に評価してもらえ、昇進に大きな影響を及ぼす。

ライの部隊、今までなら
勇猛を誇る黒檻船隊の中でももっとも精鋭で、優秀な部隊なので、
いつも最前線で大きな戦果を上げていた彼らが

今回のような大きな戦闘を予想される現場において、
こんな地味な仕事をする事に不満を感じるのは当然だ。

上官の命に従うのが嫌だと言うわけではない。
猛者の、血が騒ぐ、と言ったところが本音だろう。

サンジの事を、海軍にいる誰よりも知っているライだからこその
判断で、ヒナはその判断を良しとした。

「今まで、君が判断を間違ったことは一度としてなかったから」
「ヒナ、君を信じるわ。」と、先行部隊として
地理、海流、気候、風向き、レストランの構造、など
戦闘に必要な情報の収集と言う名目で 本隊より先に
オールブルーへ派遣してくれたのだ。


「どう言うこと?」


ライの部隊からの警笛で、敵船をヒナは双眼鏡で探した。
自分達の情報どおり、
ガレオン船が三隻、風と波を越えて まっすぐに向かってくる。

双眼鏡で徐々に近づいてくる船の甲板をヒナは
凝視する。

どう言うこと?
誰もいないなんて。


まさか。

ヒナは戦闘準備、と指示を出す。

「サンジ氏に非難するように命令して。」
「要請じゃないわ。命令よ。」

「ミルク少佐にも、本隊の援護を命じなさい!」

嫌な寒気がヒナの背中を駈け上がった。
数えきれないほど、海賊と戦ってきた、戦士の勘が
困難な戦闘になる、とヒナに告げている。

どれだけ犠牲が出ようとも、サンジ一人を守らなければ。



一方、レストランでも、戦闘準備は既に整っている。
が、客席は まるで 今から始まる、海賊船対海軍とレストランのコック達の
戦闘をショーを待つような顔つきで見守っている。

まして、今回は世界一の剣豪、ロロノア・ゾロもその戦闘に参加するのだ。

滅多に見れるものではない。

「戦功を立てるのが海軍の仕事じゃないんだ。」

ライは、主な戦闘に参加しない、
本来 世界政府からの命令では、全力でサンジを
オールブルーを守れ、なのに、
何故、家政婦や若いコックの護衛なのか、と部下達から不満が出た。

主戦力の本隊にいれば、例えば、敵の首謀者を捕らえたり、
あるいは敵に大きな損害を与えるような功を立てれば
それを正当に評価してもらえ、昇進に大きな影響を及ぼす。

ライの部隊、今までなら
勇猛を誇る黒檻船隊の中でももっとも精鋭で、優秀な部隊なので、
いつも最前線で大きな戦果を上げていた彼らが

今回のような大きな戦闘を予想される現場において、
こんな地味な仕事をする事に不満を感じるのは当然だ。

上官の命に従うのが嫌だと言うのではない。
皆、ライの忠実な部下達だ。

昇進などニの次、質実剛健、不言実行のミルク少佐を尊敬し、
慕っている者がほとんどと言っていい。
ただ、血気盛んな猛者の血が騒ぐ、と言ったところが本音だろう。

サンジの事を、海軍にいる誰よりも知っているライだからこその
判断で、ヒナはその判断を良しとした。

「今まで、君が判断を間違ったことは一度としてなかったから」
「ヒナ、君を信じるわ。」と、先行部隊として地理、海流、気候、風向き、レストランの構造、など
戦闘に必要な情報の収集と言う名目で 本隊より先にオールブルーへ派遣してくれたのだ。


「どう言うこと?」


ライの部隊からの警笛で、敵船をヒナは双眼鏡で探した。
自分達の情報どおり、ガレオン船が三隻、風と波を越えて まっすぐに向かってくる。

双眼鏡で徐々に近づいてくる船の甲板をヒナは凝視する。

どう言うこと?
誰もいないなんて。


まさか。

ヒナは戦闘準備、と指示を出す。

「サンジ氏に非難するように命令して。」
「要請じゃないわ。命令よ。」

「ミルク少佐にも、本隊の援護を命じなさい!」

嫌な寒気がヒナの背中を駈け上がった。
数えきれないほど、海賊と戦ってきた、戦士の勘が
困難な戦闘になる、とヒナに告げている。

どれだけ犠牲が出ようとも、サンジ一人を守らなければ。



一方、レストランでも、戦闘準備は既に整っている。
が、客席は まるで 今から始まる、海賊船対海軍とレストランのコック達の
戦闘をショーを待つような顔つきで見守っている。

まして、今回は世界一の剣豪、ロロノア・ゾロも
その戦闘に参加するのだ。

滅多に見れるものではない。期待するなと言うのが無理だろう。



サンジと、最も戦闘力のある、かつて 軒並1000万ベリ―以上の
賞金首だった 海賊あがりのコック達、

そして、頭に既に黒い手ぬぐいを巻きつけたロロノア・ゾロは
レストランになっている船の船外、甲板で待機していた。


「なんだ、ありゃ。」

双眼鏡をのぞく、サンジが訝しげな声を出した。


「誰も乗ってねえ。どの船もだ。」







「あれじゃ、鉄の槍は跳ね返されるわ」
まるで、黒檻部隊との戦闘を予想していたといわんばかりの船の装備にヒナは唇をかんだ。

船底に、薄い鉄板が打ち付けてある。
あれだけの鉄板を装備したら 長い航海には向かない。

「一体、どこに潜んでた訳?」

いや、そんな事はどうでもいい。
ヒナはレストランに伝令が到達したのを双眼鏡で確認し、
小型の通信機でライへ作戦変更の指示を出す。

「手勢を少し残して、本隊に合流して。」
「厄介な相手だわ。」


「出来ません。」
「厄介な相手なら、尚更です。」

ライは 自分の主張を曲げなかった。
「ヒナさん、我々はサンジ氏の大事な者、」
「全てを守る為にここに残ります。」

この頑固者!と怒鳴ってヒナは通信機を切った。


「幽霊船だ」
コックの誰かが呟いた。

誰もいないのに、船が動いている。
海賊の旗も、国の旗も、正体を示す物を何一つ 掲げていない、不気味な船だった。


ゆっくりと、レストランの前に一隻が船を寄せる。

ゾロが その船を見据えたまま、刀を抜く。
サンジがつま先をトン、トン、と二回、準備運動のように甲板に打ちつける。

コック達も武器を持つ物はそれを構える、金属の擦れる音がなった。

「一に、客、ニ、に客、三に 客、とにかく、客を守れ、」
「攻撃こそ、最大の防御だぞ、てめえら!」

いつもの戦闘なら、サンジはそう怒鳴ってコックたちを鼓舞していた。
けれど、今日は相手の動向を探るように、
目を細め、敵船を見つめている。


「判るか。」
「ああ。クソ血生臭エ。」

ゾロとサンジが言葉を交わす。

人の気配はする。かなりの人数だ。
しかも、殺気を孕みながら、それを押し殺しているのを並外れた感覚を持つ、ひしひしと二人は感じた。



その時、黒檻隊から砲撃が始まった。

大きな水飛沫と轟音が静かなオールブルーに響く。
それを合図に、

レストランにも砲弾が飛んできた。


サンジが甲板を跳躍する。
ゾロが刀を口に咥える。


真っ二つに割れた砲弾、
蹴り飛ばされ、弾き飛ばされた砲弾が海に水柱をあげた。

口笛を吹くような音が響いた。
鉤のついた、ロープがまるで 空を飛ぶヘビのように、
生きているかのように、
海の上を飛び、正体不明の船とレストランを繋いだ。

「来るぞ!」

コックの中でも よく、仲間をまとめる役をしている、
大柄のコックが怒鳴った、

その途端、パン、パン、と数発、乾いた音が響き、
そのコックはあっという間に体中を血に染めた。






一隻はレストランへ、

一隻は海軍の包囲網へ

一隻は 桟橋をはさんだ、サンジの家へ。


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