みなさん、こんにちは。久しぶりの「病院だより」になります。前回の皮膚病シリーズに続き、今回からは心臓病についてシリーズで書かせていただきたいと思います。 今回は、循環器疾患をお話しするのに大切な基礎の部分をお話しさせていただきたいと思います。難しいイメージのある心臓ですが、病気を理解するのはそれほど難しくありません。解りやすく書くつもりでいますので、一度読んでみてください。 心臓は筋肉でできていて、全身に血液を循環させるポンプの役割をしています。新鮮な酸素を含んだ血液は、心臓から全身を回り、それぞれの臓器で酸素が消費されることにより血液中の酸素が減って、また心臓に返ってきます(大循環)。そして心臓に戻ってきた血液は肺へ運ばれ、新鮮な酸素を取り入れ、また心臓に戻ってきます(肺循環)。 大まかな血液の流れを図1に示しました。色分けは、赤が酸素の豊富な血流、青が酸素の少ない血流となっています(注;図には記されていませんが、肝臓にも動脈は走っています)。 一般に心臓から出る血液を「動脈」、心臓へ戻ってくる血液を「静脈」と言います。 心臓から全身へ…大動脈 心臓から肺へ…肺動脈 全身から心臓へ…大静脈 肺から心臓へ…肺静脈 (それぞれの血管にはさらに分岐があるのですが、ここでは簡単に書かせていただきました。ご了承ください) 〜心臓の構造〜 心臓は右側の部屋と左側の部屋に分けられ、それぞれ上の部屋、下の部屋と合計4つの部屋に分けられています(図2)。上の部屋を 「心房」、下の部屋を「心室」といい、それぞれ以下のように名前が付けられています(ここで述べられる右・左は、体の右側、体の左側という意味で使っています)。 左上の部屋…左心房 左下の部屋…左心室 右上の部屋…右心房 右下の部屋…右心室 上述のように4つの部屋に分かれていますが、左右の部屋を分ける柱にも名前が付いています。 左心房と右心房を分ける柱…心房中隔 左心室と右心室を分ける柱…心室中隔 また、それぞれに進んだ血液が逆流しないように弁も4つ作られていて、心房と心室、心室と動脈の間にそれぞれ弁があります。それぞれの名前は下記のとおりです。 左心房と左心室の間…僧帽弁 左心室と大動脈の間…大動脈弁 右心房と右心室の間…三尖弁 右心室と肺動脈の間…肺動脈弁 心臓の大きさは動物種によって違い、犬においては犬種によっても変わるんですよ。 〜血流、心拍数について〜 心拍数は犬で70〜160回/分で、小型犬は早く、大型犬は遅い傾向いあります。仔犬では220回/分になることもあります。また、猫では1分間に160〜240回/分程度あります。心臓は常に休むことなく動き続ける大事な臓器です。 血液は、下記のように流れています。(図3) 左心房 → 左心室 → 大動脈 → 全身の各臓器 → 大静脈 → 右心房 → 左心室 → 肺動脈 → 肺 → 肺静脈 → 左心房 (赤が酸素の豊富な血流、青が酸素の少ない血流) 今回は、ここまでのお話にしておきます。少しは心臓の構造や、血液の流れが理解できたでしょうか?分かりにくい場合、修正や改訂をしますので、メールにてご連絡いただければ幸いです。 次回は心臓の電気の流れについてお話したいと思います。