長良川河口堰と鮎の遡上問題
アユの遡上について
アユの遡上数は年変動が大きいものの、遡上数は減少傾向を示している。(図U−2、3)しかし、これは自然の増減の範囲内であるとも考えられる。
したがって、現時点では河口堰がアユの遡上を阻害している事実は認められない。これは河口堰が稼動し始めてからも遡上数が最大を示している年があることからもいえる。
アユの成魚の個体数が減少しているといわれる背景には、異常増殖したカワウによるアユの捕食など、外的要因が考えられる。
長良川中流までアユが順調に遡上しているかどうかを調べたのが(図U−4)のグラフである。このグラフは、実数調査からアユの推定遡上数を求めているので、資源量調査としては信頼性が高いと言える。この調査の目的は、河口堰における計測調査は左岸側のビデオカメラが設置されている魚道のみが調査対象となっていることから、正確なアユの資源量を調査する目的で実施されているものである。
この調査からわかることは、長良川河口堰に設けられている魚道が十分に機能していることである。このことからも、河口堰はアユの遡上を阻害しているとは言えないのである。
参考資料
独立行政法人 水資源機構 長良川河口堰管理所「長良川河口堰調査報告書」(2004)
独立行政法人 水資源機構 長良川河口堰管理所「長良川河口堰調査報告書」(2005)
日本自然保護協会 報告書「長良川河口堰事業の問題点・第3次報告」(1996)
日本自然保護協会 報告書「長良川河口堰が自然環境に与えた影響」(1999)
日本自然保護協会 報告書「河口堰の生態系への影響と河口域の保全」(2000)
図U−2 左岸魚道を通過するアユの遡上数
(「長良川河口堰調査報告書」(2005)より作成)
図U−3 左岸魚道を通過する1日あたりのアユの遡上数
(「長良川河口堰調査報告書」(2005)より作成)
右:図U−4 河口50km地点のアユの遡上状況
(「長良川河口堰調査報告書」(2005)より作成)