クリスマスチルドレン

その2


「ひーえーいー。おりといでよー」
飛影くんは公園の木に登って、向こうを向いてすねていました。
「でも励ましようがねーんじゃねー?あの野郎はホントのこと言ったまでだし」
「幽助!!」
「……」
蔵馬くんは、ふうとため息をつき、木の上を見上げました。
「飛影もなにか言ってくださいよ。貴方が勝手に幼稚園を飛び出してきたんですから」
「………」
飛影くんは相変わらず何も言おうとしません。
「大丈夫だよ飛影。あんたがほんとはいい子だってことは、みんな知ってるんだからさ」
「そうですよ飛影さん」
ぼたんちゃんと雪菜ちゃんが優しい言葉をかけます。
「勝手にすねて、幼稚園飛び出す奴が本当にいい子なのかよ?」
「幽助ーーっ!」ばちこーん
「ダメでしょーがそんなこと言ったら!!」
「いってーなぼたんっ!!けいこ先生にでもなったつもりか!?」
「おいやめろよお前ら。幼稚くせーなー」
「やかましいこの失敗面!!」
「なんだとこの桑原様のお顔にケチ付ける気かああ?」
「だーーっっ!!そんなことやってる場合じゃないでしょーーっっ!!」
「うるさいぼたん!!もとはお前のビンタのせいなんだぞ!!」
「違うでしょ!!あんたが他愛ないこと言うから悪いのよ!!」
「んだとこのアマーーーーーーー!!!」
「それ以上騒いだ人は、みんなオジギソウのえさにしますよ」

…し〜〜……ん……。

(さすが蔵馬……)
「飛影、あんまりそうひねくれてばかりいたら、サンタさんにプレゼントがもらえなくなりますよ」
「あっそうだよ飛影。あんたもクリスマスは楽しみなんだろ?」
「………」
飛影くんは少し反応したようです。
「そのてんオレらは、飛影のお迎えに来たんだから、プレゼント絶対もらえるよな」
「そーだな」
「幽助!桑原くん!今はそんな話しないの!」
「飛影さん…」
「……」
すると、急に幽助くんが言いました。
「あーもーやーめた!飛影になんか言うだけ無駄だぜ。よーちえんに帰ろ」
幽助くんはくるりと後ろを向いて、公園を出ていこうとしました。
「なっちょっと幽助!あんた正気かい?」
「だって、こんなひねくれもんの相手してたって時間の無駄じゃねーか。いつまでたっても木から降りてきやしねーよ」
「なんだって!あんたそれでも飛影の友達なの?悪い子だねほんとに。サンタさん来てくれないよ!?」
「んだとうっせーな!てめーこそそんな怒ってばっかりいたらサンタさん来てくれねーぜ!」
幽助くんとぼたんちゃんは、またギャアギャアけんかをし始めました。
「…クックック」
「!?」
すると、いきなり飛影くんが笑い出しました。
「…めでたい奴らだな。サンタなんかが本当にいるわけがないだろう」
「何?」
みんなは木の上を見上げました。
「サンタなど、この世にいないと言っているんだ」
「なんだって!?飛影、それじゃあいくらいい子ぶってもサンタなんか来ねーってーのか!?」
幽助くんが言いました。
「そうだ」
飛影くんはこちらを振り返って言いました。
「何だと!飛影てめー!!」
「やめなよ幽助!こんなとこで霊丸ぶっ放す気かい!?」
「ぐっ」
それから、ぼたんちゃんはまた飛影を見上げました。
「飛影、あんたほんとにサンタさんがいないと思っているのかい?」
「当たり前だ」
飛影くんの返事はいつも簡単でした。
「あーもーかわいくないねー。サンタさんは本当にいるんだよ?信じないのかい?」
「フン、そんなことを信じるのはバカなガキどもだけだ」
「なんだってーーーーー!!」
「あーおさえておさえて」
今度は蔵馬くんがぼたんちゃんをとめました。そして、蔵馬くんはまた飛影くんの方を見ました。
「飛影…。信じる信じないはあなたの勝手ですが」
蔵馬くんの声は、少々熱がこもっていました。
「サンタさんのことを信じない子供のところには、絶対サンタさんは来てくれませんよ」
それを聞いた飛影くんは、黙って蔵馬くんを見ていました。
「……ふん。勝手にしろ」
すると、飛影くんは木の上から跳び去っていってしまいました。
「あ…………」
「…………」


その夜、また公園にもどってきた飛影くんは、木の枝に寝転がり、揺れる葉っぱを見つめていました。
『サンタさんのことを信じない子供のところには、絶対サンタさんは来てくれませんよ』
「………」
飛影くんは、昼間の蔵馬くんの言葉が気になっていました。
  …フン、当たり前だ。いないとわかっているのに、そんな奴が現れてたまるか。
そう思っているうちに、飛影くんはすやすやと眠ってしまいました。

そしてー…。どこからともなく、シャンシャンシャンという音が聞こえて来ました。
「何?」
と、飛影くんは体を持ち上げました。
飛影くんは、遠くの夜空に光が見えました。この音はそこから聞こえてくるようです。
そして、その光は、段々こちらに近づいてきているようでした。
「ま…まさか…?あれは……!?」
飛影くんがそう言ったとたん、光の玉は目の前に現れて、飛影くんはそのまぶしさに眼を覆いました。
「………!まさか…!!」

つづく♪


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