その1
ここはとっても楽しい幽遊幼稚園。きょうも園児達が元気に遊んでいます。
「せんせー!飛影くんがー!」
女の子が泣きながら、けいこ先生に訴えに行きました。
「また飛影くん?」
飛影くんは、この幼稚園の問題児でした。
「砂に水を入れて泥遊びしてたのに、飛影くんが泥を焼いて乾かしちゃったんです。」
「しょーがないわねー。」
けいこ先生が砂場に行くと、飛影くんは泥をかちんこちんにして、そのうえに座っていました。
「飛影ー、やめろよー、そんな幼稚ないじわるすんの。」
「そーだぜー。」
ボールを持ちながら幽助くんと桑原くんはいいました。
「フン、どうしようがオレの勝手だ。」
「んなわけあるかっ!砂場はみんなのもんなんだぜ!?みんなで使わなきゃだめじゃねーか。」
幽助くんはわりと正義の味方気取りのようです。
「そうですよ飛影。」
と蔵馬くんも言いました。
「…。」
「はいはいみんなー!お片づけして教室に入ってくださいー!飛影くんはちゃんと砂場のお片づけするのよ。」
「ちっ。」
けいこ先生に言われ、飛影くんは仕方なく砂を元通りにしました。
「みなさん、もうすぐクリスマスですねー!」
「はーい!」
りす組から元気な声が聞こえてきます。そう、この幼稚園はもうすぐクリスマスを迎えるのです。
「クリスマスの夜は、みんなのおうちにサンタさんが来ますよー!」
「わーい!」
「だから、サンタさんが来るまで、みんないいこにしてましょうねー。」
「はーい!」
園児はみな元気がいいです。この時は、飛影くんも一緒になって返事をしていました。
「じゃあせんせーい、飛影くんのおうちにはサンタさんは来ないんですね。」
メガネをかけたある男の子が言いました。
…しんっ…、と教室が静かになりました。
「なんで飛影のとこにサンタさんが来ねーっていうんだ!?」
幽助くんが反論しました。
「だって、飛影くんはいつもわるいことばかりしていて、ちっともいいこじゃないじゃないですか。そうでしょ。」
「てめー…!幼稚園児のくせに敬語ばっかり使うなー!」
「幽助、そこ怒るとこじゃない…。」
と蔵馬くんは言いました。
当の飛影くんは、黙って下を向いていました。
「飛影くんの家にもサンタさんは来ますよ。だって飛影くんはすごいこじゃないの。何もないところから炎をだしたり…。」
とけいこ先生はやっと返事しました。
「けど、それに飛影くんは、家自体がないじゃないですか。公園に住んでるんでしょ。」
そのひとことで飛影くんの目がきらりと光りました。
それ以上言うな、と他のこどもはみんなそう思いました。
「それに。」
けれど、そのこはそれ以上言ってしまったのです
「飛影くんはお母さんだっていないんだよ?」
「うわああああああん!!」
飛影くんはそのこを殴り飛ばして、幼稚園をかけあしで出ていってしまいました。
殴られた子は、床に打ち付けられた後、わんわんわめくばかりでした。
「そりゃおめーが悪いわ。」
「幽助、ちょっと素に言い過ぎ…。」
「でもやっぱりこいつが悪い。」
幽助くんと蔵馬くんと桑原くんは他愛ないないことを言っています。
クラスのみんなはしょんぼりしました。
お母さんがいなくて公園に住んでる飛影くんを、いじわるされながらも思いやっていたのです。
「せんせー、オレたちで飛影くんを連れ戻してきまーす。」
幽助は手を挙げて言いました。
「あっ、わたしも行きます。」
「あーあたしも行くよー。」
と雪菜ちゃんとぼたんちゃんも手を挙げました。
「そう、じゃ、5人でいってきてください。」
けいこ先生は優しい幽助くんたちに笑顔で言いました。
「おっしゃー!じゃあかわいそうな飛影のために、みんなで幼稚園サボるとするかー!」
「幽助はそれが狙いだったんですか…!?」
つづく♪
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