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柱カウンターウェイト検証実験(本実験)


5.結論

B梁組や根太の方向の、カウンターウェイトへの影響は本実験を見る限りでは、確認できなかった。(別図参照)

ただし、カウンターウェイトを、複数の突き上げ柱に分割する場合、長期軸力を計算するときと同様に、梁や根太の方向に注意して計算する必要がある。


C「3階建て木造住宅の構造設計と防火設計の手引き」(日本住宅・木材技術センター)における、押さえ込み係数βで考慮されている押さえ込み効果(カウンターウェイト)は下式で表される。


  CW=(Q×H/L)×(1−β)+V

    Q:耐力壁に作用する水平力(1/120rad時)

    H:耐力壁高さ

    L:耐力壁幅

    V:柱の長期鉛直荷重

    β:押さえ込み効果係数(耐力壁線端部:0.8、中央部:0.5)


この式で計算したカウンターウェイトと本実験結果と比較した所、建物全体で見たカウンターウェイトは、本報で示したモデル化に対し、やや少なめにカウンターウェイトを見積もっていたことになる。

また、梁単位で見た場合、一部の梁で若干(2割程度)押さえ込みがやや多く算出されて、危険側になる場合があり、この点で旧計算法(通称:青本)における柱の引き抜き力は、終局時の安全性を確保しているとはいえないと思われる。

なお、Qには終局耐力時(1/30rad時)の実験結果から算定した、耐力壁1枚当たりの水平力を代入している。


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 ©Tahara Architect & Associates, 2004