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柱カウンターウェイト検証実験(予備実験)


4.まとめ

今回の実験では、水平力により耐力壁に取り付いている柱に浮き上がりが生じるときの上からの押さえ込み力は柱長期軸力のような柱一本当たりの負担面積では考えられなく、柱の上部に渡っているX方向・Y方向の梁の持ち上がり長さ分の大きな面積全体で浮き上がりを押さえようとするということが確認でき、柱長期軸力以上の柱カウンターウェイトの効果が期待できることが確認できた。

また、柱の浮き上がり変位が30mm程度までは、その変位が大きくなるほど柱カウンターウエイトも追随して大きな値となる。

このことは柱カウンターウエイトの値の大小によって耐力壁の耐力が左右されるという関係から、より柱カウンターウエイトの値を正しく評価することの重要性が再確認できた。

これまでの柱長期軸力では、隅柱においては負担面積の値が小さくなり柱カウンターウェイトの値がかなり少なく算定されているが、今回の測定結果をみると浮き上がり量が2.5mm程度であっても長期軸力に対し3.5倍程度、NO.2の側柱では2倍程度そしてNO.9の内部柱でも2倍程度であった。

さらに、20mm程度の浮き上がり変位ではNO.1の隅角部柱の長期軸力において11倍程度、NO.2の側柱では7倍程度そしてNO.9の内部柱でも10倍程度であった。

このことは建物全ての柱においてあてはまることと推測され、どの様な柱であっても、4m程度の梁があれば上からの押さえ込み力が期待できると思われる。

また、今回の検証目的ではないが、NO.1, NO.2, NO.9以外の地点については床が下がる(上部柱や壁による抵抗が大きく、柱が持ち上がらないで反作用として床の方が下がっていく)という状況が生じ、上手く測定できない地点もあった。


今回、モルタル壁ありの場合とモルタル壁なしの場合について実験の比較より、浮き上がりに対してモルタルがかなり抵抗していることが確認できた。

この実験は静的加力実験ということから、大きな地震でのモルタルが脆性的な破壊を生じるような場合には適用できないが、モルタルが軸組みと密着している場合には水平力に対する抵抗要素として考慮できるといえる。


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 ©Tahara Architect & Associates, 2004