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柱カウンターウェイト検証実験(前編)


1.実験目的

平成7年11月28日〜12月28日に香川県仲多度郡多度津町で行われた木造住宅実大振動実験結果から建物に地震力を与えられた時、4隅(隅角部)の柱に大きな力が加わることが明らかとなったが、実験の結果から柱には浮き上がる力だけでなく、それらを押さえ込もうとする力が生じていると考えられる。

この押さえこむ力を以降「柱カウンターウェイト」と呼ぶことにするが、この力は建物の終局耐力に大きな影響を与えるため、木造住宅構造体の耐力性能を把握する上では、これを正しく評価することが必要である。

そこで本実験では、地震に対してとくに影響のある1階の柱を対象として行った。

柱カウンターウェイトをモデル化しやすいよう、なるべく屋根荷重(直上の梁位置、柱位置など)や2階外壁モルタル、その他の抵抗要素の複雑な影響を受けにくいと思われるポイントに絞って行うこととし、柱カウンターウェイトを特定できるように配慮した。

1−1.柱カウンターウェイトとは

水平力が加わると、耐力壁の剛体回転によって、耐力壁の両端の柱の片方は上向きに浮き上がろうとし、もう片方は下向きにめり込もうとする。

この浮きあがりに抵抗する要素について、横架材と柱を金物で緊結している場合と金物がついていない場合について以下述べる。


・横架材と柱の接合に金物がついていない場合

柱が浮き上がれば浮き上がるほど、上からの押さえ込みである荷重による抵抗は大きくなり、押さえ込み効果を発揮する。しかし倒壊限界変形角を超えると逆に、P−Δ効果によって、この力が倒壊させようとする力となると考えられる。

・横架材と柱を金物で緊結している場合

柱脚金物等の浮き上がり抵抗金物を用いた場合は上記の荷重抵抗効果にその接合されいている金物の耐力が加算された抵抗力となる。この場合、初期変位においては金物による抵抗が大きいが、金物の降伏後は上からの押さえ込みである荷重の抵抗力が増大していくと考えられる。

阪神大震災のような強い地震力に対しては、柱脚金物等を用いて水平力に抵抗させることは有効な手段であるが、序章で述べた通り、阪神大震災の際に倒壊していない住宅が存在することから、上からの押さえ込み荷重抵抗効果があったと考えられる。このように、耐力壁の剛体回転による浮き上がり力に対し、上から押さえつけようとする荷重抵抗効果として、柱の上部にある横架材の荷重による上から押さえ込もうとする力が生じる。この力を柱カウンターウェイトと呼ぶ。


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 ©Tahara Architect & Associates, 2004