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柱カウンターウェイト検証実験(前編)


はじめに

木造住宅等の建物が地震力等の水平力を受けた場合、その建物にある壁面の剛性および耐力から浮き上がろうとする力が発生する。その浮き上がろうとする力は、柱を引き抜いて建物を転倒させる力となる。

1995年1月17日の阪神淡路大震災においても、前記のような破壊状況で倒壊したと思われる住宅の被害が学会等で発表されている。

しかし一方で、倒壊せずに残った建物を見ると、浮きがった形跡のない住宅も見受けられている。このことは浮き上がりが生じるほどの水平力が入力されなかったのか、壁体の剛性や耐力により浮き上がりが生じなかったのかは一概にはいえないが、いずれにせよ上からの押さえ込み荷重が卓越していたことが予想される。

木造住宅の特性は、ある一定の長さの横架材(梁・桁)を柱で受け、床・屋根を掛ける構法である。これは、鉄筋コンクリート造や鉄骨造と違い、建物の横架材を一体化した抵抗は難しく、ある一定の長さの横架材を組み合わせ、組み立てる架構である。

横架材の部材長間には、直交梁および上部階の柱等が取り付いている。その部材長の下部階にある耐力壁が水平力を受けた場合、耐力壁の取り付く柱が浮き上がろうとすると、 その柱の上部横架材の材長間の荷重が押さえ込もうとする力、すなわちカウンターウェイトと呼ばれる押さえ込み効果を発揮する。

本報告書では、柱の浮き上がりに対して抵抗しようとする柱カウンターウェイトについての解説と、解体家屋を用いた静的加力実験により柱カウンターウェイトの実体についての調査結果を報告する。


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 ©Tahara Architect & Associates, 2004