N値計算法の中の『L』の
原理となった
柱カウンターウェイト検証実験


建築基準法が2000年に改正された中で、木造住宅(いわゆる4号物)の構造規準と言うべき「接合部」の金物仕様が詳細に規定された。

それは、建築基準法施行令第47条に規定する、「構造耐力上主要な部分である継手又は仕口は(中略)建設大臣が定める構造方法によりその部分の存在応力を伝えるように緊結しなければならない。」と規定されたのである。

ここで掲載する内容は、1999年に(財)日本住宅・木材技術センターより、改正基準法へ向けた新しい設計法(許容応力度設計法)に盛り込む内容の一環として、行なわれたものであり、その概略を説明する。

2000年に建築基準法が改正され、その改正内容の一部に金物の仕様規定が盛り込まれている。

接合金物の検討において、以前は「3階建て木造住宅の構造設計と防火設計の手引き」(日本住宅・木材技術センター発行)においては、柱脚部の設計で周辺部材による押さえ(曲げ戻し)の効果(B)のみを考慮していたが、柱の長期軸力以上に、梁(床組み)による鉛直荷重の押さえ効果があると当事務所では想定していた。

そこで実験・検証を行うことにより、横架材等による建物全体レベルで見た押さえ込み効果(カウンターウェイト)を確認し、接合金物の適切な設計に役立てる事を目的とした。

このことは、現在のN値計算法の算定式で、鉛直荷重による押さえの効果を表す係数(L)を導き出す根拠となったものである。

柱の長期軸力の押さえ込み効果だけではなく、躯体に設置された面材等による相乗効果等も考慮し、建物全体としての挙動を捕らえたものである。



柱カウンターウェイト検証実験(前編)
柱カウンターウェイト検証実験(後編) up






 ©Tahara Architect & Associates, 2004