現状では解説不足な面が見られるが、実際にテキスト等を基にして施工すると、下記のような問題点が発生する。
座付きボルトの両脇に設置するアンカーボルトの種類が、M16ボルトのアンカーボルトA−70(又はA−60)ではなく、普通のアンカーボルトAとなると、それに対応した座金は40mm角なので小さな座金となり、高倍率の耐力壁からの引き抜き力に対して、小さな座金(40角×4.5)で押さえつけても、その座金が引き抜き力によってめり込んで曲げ降伏を起こし、それらの因子が重なって容易に変形しやすくなり、中規模地震でも思いもよらぬ変位が生じる。
これは、実験からの耐力壁の壁倍率が決定する基準の一つで、壁体が1/150radの変形したときの耐力で決定することが一般的な耐力壁仕様では多いが、接合部でその変位に達するまでに降伏してしまえば、所定の耐力が期待できない可能性がある。
座付きボルトの両脇に設置するアンカーボルトが、ホールダウン金物の取り付いている柱芯から200mm以内が理想といえ、400mm以上離れて施工されると、引き抜き力が発生した際に土台の曲げ又はせん断破壊につながり、脆性的な破壊の恐れがある。
また、土台の曲げによる変位増大が予想され、上記のように耐力壁の所定の耐力が得られなくなる。