関西・関東の温泉事情
2003年1月8日の読売新聞(関西版・夕刊)に、私の目を惹いた温泉記事が掲載されていました。
関西・関東の温泉事情や温泉に対する考え方の違いが、具体的事例で記述されていたのです。
30歳まで関東、それからの24年(海外駐在の6年を除く)を関西で過ごし、両方の文化の違いを肌で感じてきた私にとって、温泉に関する東西の違いを論ずるこの記事にうなずける点が多々ありました。
この記事の要旨をここにご紹介いたします。(一部はHP管理者が加筆)
関西の温泉地 関東の温泉地
キーワード 古湯(日本三古湯である有馬・白浜・道後の他に湯の峰・玉造)
日本書紀・万葉集に登場
秘湯(昔の草津・伊香保・塩原・那須)
歴史的背景 ときの支配階級・貴族・権力者が温泉に通った。
豊臣秀吉は有馬温泉を愛した。
農民や町民が病気を治したり、骨休めに滞在したりする湯治場であった
もてなし 温泉地・入浴客とも料理・食材(例示:カニ・イセエビ・タイ・アワビ)にたいへんこだわる。
洗練された接客態度・サービスが求められる。
温泉地・入浴客とも料理・食材にあまりこだわらない。(ヤマメ・イワナ・山菜・キノコ)
「マグロの刺身」などを出すとひんしゅくを買う。
温泉そのものと自然が最大のもてなしである。
付加価値 単なる温泉街を否定し、先述の料理や娯楽的要素を加えてきた。(白浜には戦前から水族館や植物園が造られた) 鄙と温泉情緒の保存に力を入れて、「癒し」「保養」を追求する。
この結果、国が1954年に「国民保養温泉地」をスタートさせたとき、最初に選ばれたのが「日光湯元(栃木県)」「四万(群馬県)」「酸ヶ湯(青森県)」であり、東のひなびた湯治場のような温泉地ばかりであった。
日本秘湯の会(別途当HPで紹介) これに加入する宿は4軒のみ。 秘湯ブームは関東からおきた。
全部で146の宿が加入しているが、大半は東日本にあり、関東五県に24軒ある。
両親の実家である東京に長期滞在することが多いが、東京で見る温泉旅行の広告・パンフレットには、料理を謳ったツアーが少ない。また料理の写真も載っていないことが多い。これに対し、関西では主役は「料理」で、広告・パンフレット類には、料理の写真が中央にドーンと大きく載っていて、かんじんの浴室・露天風呂の写真や温泉そのものの良質性・効能をアピールしているものは少ない。これは上記の温泉文化の違いに加えて、源泉100%、掛け流しの温泉が西に少ない点も理由かもしれない。
有馬温泉(兵庫県)
草津温泉(群馬県)
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