全国的に知られた四国の温泉は、言うまでもなく愛媛県の道後温泉だ。一方、温泉そのものにこだわる人が一番行ってみたい所は、これまた疑うことなく徳島県の祖谷温泉(ホテル祖谷温泉)であろう。
5月のゴールデンウイーク明け、温泉仲間のARさん・AKさんとともに2泊で四国を周った。初日、ここに宿泊したが、評価は文句なく
★★★★★、安心してお薦めできる温泉旅館だった。
祖谷(いや)温泉・ホテル祖谷温泉(徳島県)
所在地 : 三好郡池田町
住 所 徳島県三好郡池田町松尾367-2
電 話 0883-75-2311
交通機関 ・徳島自動車道井川池田ICから国道32号線県道32号線で約25km
・徳島自動車道井川池田ICから国道32号線(大歩危経由)、県道45・32号線で約35km(推奨)
JR土讃線阿波池田駅から四国交通バスかずら橋行きバスで55分祖谷温泉前下車すぐ(本数少ない)
施 設(日帰り) レストラン(食事付き入浴)、ロビー、 駐車場(40台)
宿 泊 23室 15,000円前後〜 (季節・月・曜日・人数によって変わるので詳しくは下記ホテルHP参照) 露天風呂付客室が2室ある。
泉 質 単純硫化水素泉 (39.3℃ 1,500リットル/)分
適応症 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照)
入浴時間(外来) 7時30分〜18時
定休日 無休
入浴料金 露天風呂+内湯 大人1,500円  小人800円 
内湯 大人500円
 小人300円
入浴施設 内風呂男女各1 露天風呂男女各1
浴室備品 シャンプー、ボデイソープ、ドライヤー、ロッカー 
但し露天風呂はシャンプー類は使えない。
観光スポット 大歩危・小歩危・かずら橋・祖谷渓・平家屋敷阿波池田うだつの家・たばこ資料館
お土産・食事 土産は館内で可。昼食付入浴は予約。
近くの温泉 大歩危温泉・新祖谷温泉・祖谷渓温泉・白地温泉
池田町HP
三好西部町村観光協議会
H祖谷温泉
http://www.awaikeda.jp/
http://www.west-miyoshi.com/

http://www.iyaonsen.co.jp/
雑記帳 今年NHK大河ドラマは源義経、しかし祖谷には便乗商法なし。奥深い山峡こそ平家落人伝説に相応しい。
池田町は徳島県西部に位置し、吉野川が町の中央を流れる。剣山山系が南側に連なり町の90%近くが山地、北は香川県、西は愛媛県し接している。
人口18,000人、かっては葉タバコの生産で賑わって、500mに亘る「うだつの町並み」がその名残である。

しかし我々の年代には、名将・蔦監督が率いる池田高校野球部の活躍が思い浮かぶ。
昭和46年夏、甲子園に初出場して2回戦で大敗、昭和49年春に再出場したがそのときのメンバーはたったの11人、しかし大健闘して準優勝した。このときの全員が一丸となってプレーする姿が感動を呼び、「さわやかイレブン」という名で全国から注目を浴びた。「

その後、昭和57年夏、水野(後巨人軍)を擁した池田高は見事優勝、翌年春も連覇した。蔦監督の独特の練習による猛打線のバットの響きが、他校と違う「カキン」という鋭い打球音と池田町の風土をあわせて「やまびこ打線」と呼ばれた。 
その後も甲子園出場は続き、春夏通じて出場15回、優勝3回、準優勝2回の戦績を残している。蔦監督引退の平成4年出場以降は甲子園とはちょっと縁遠くなっているのが少し寂しい。
平家伝説が残る、秘境・祖谷にあるかずら橋。シラクチカズラで組まれたもので、長さ45m・幅2m・水面上14m、3年毎に架替えが行われる(国・県指定重要有形民俗文化財)。

温泉名 ・ 祖谷(いや)温泉
全国的に知られた四国の温泉は、言うまでもなく道後温泉(愛媛県)だ。一方、温泉そのものにこだわる人が一番行ってみたい所と言えば、これまた疑うことなく徳島県の祖谷温泉(ホテル祖谷温泉)であろう。
温泉仲間のARさん・AKさんとともに、5月の連休明け、この祖谷温泉に向かった。

祖谷温泉は想像していた以上に秘湯度が高い温泉地だった。
宿泊した旅館に「日本三大秘境」の看板がかけてあり、ここ祖谷渓谷の他に泉村五家荘(熊本県)・十津川渓谷(奈良県)の名前があった。

四国山地の主峰、百名山の一つである剣山(1、955m)を源とする祖谷川が削ったV字渓谷には、原始林が生い茂る山々の斜面が急角度で落ち込む。祖谷渓だ。
面積では十津川渓谷よりはるかに小さいが、県道から祖谷川まで200m近く落ち込む急峻さは、祖谷渓谷の方が勝り、平家の落人伝説がこの地に残るのが頷ける。

祖谷温泉へは2つのルートがある。
一つは、徳島自動車道井川池田ICから国道32号線で南下、途中「祖谷渓大橋北」交差点で県道32号線に乗り換え祖谷渓を経由して10km。距離的には最短だが、1.5車線の隘路である県道走行の距離が長い。
もう一つは整備された国道32号線でさらに南下し、小歩危・大歩危の峡谷を過ぎて左折し、比較的広い県道45号線を5km、途中で左折して県道32号線を逆に5km余り北上するルートだ。

温泉サイト仲間のMrリーダーさんから、前者のコースは「十津川渓谷で慣れている自分でもかなり神経を使った。大歩危から向かった方がいい。」とのアドバイスを頂いていた。
そこでわたし達は後者ルートを取り、道路上から二つの峡谷を見下ろし、祖谷渓最大の名所、かずら橋を観光してから旅館に向かった。
かずら橋から左手に断崖を見ながら、1.5車線の隘路を進むこと15分余り、見えてきた祖谷温泉の一軒宿・ホテル祖谷温泉は、道の左手、山側でなくて谷底側の猫の額ほどの場所に、まるで建物の半分が空中に飛び出しているように建っていた。
国道32号線はカーブが多いが快適
大歩危の川下り
県道45号線、「ようこそ平家の里へ」
深まる祖谷渓谷
かずら橋のARさん・AKさん
遠くから見ると空中に浮いているようなホテル祖谷温泉、断崖ギリギリに建っている。
施設名 : ホテル祖谷温泉 (宿泊:2005.5.10)
かずら橋方面から狭い県道で高度を上げていくと、急に道幅が広くなった。
右手には岩石・土砂の崩落を防ぐ巨大で分厚い防護壁。
ホテルが崖から乗り出すようにして建っているので、もし大きな土砂崩れが起きたら、建物はそのまま170m下まで滑落してしまうに違いない。
しかし、それよりも先に思ったのは、建物が辛うじて建っているテラスが崩れたらどうなるか、ということだった。
ここで働く経営者や従業員は、よほど豪胆なんだ、と感じ入った。
予約のとき、当館はエレベーターがないので足腰に問題はないかと聞かれたが、現地の地形を見て、これの設置はとても無理だろうと納得した。

4時のチェックインだったが、建物の前の駐車場はほぼ満員。
驚いたことに地元徳島県を含む四国4県のプレートナンバーは1台だけ、後はすべて本州と九州の車だった。ここがいかに全国的に人気の温泉かをあらためて実感した。
チェックインが2時からになっているので到着が早いこともあろうが、もう一つの理由は、名物の露天風呂が、たとえ宿泊者でも夕方6時までの入浴となっているためで、私も予約のときに早いチェックインを薦められた。(翌朝は7時から)

一部、断崖の斜面を利用して建てた旅館は鉄筋6階建てで、玄関から入ったロビーは4階になり、その向こうに、渓谷を眼下に望む明るい食事処(掘り炬燵形式にはなっていない)がある。

案内された部屋は南と西に窓がある角部屋(T付)、新緑の山々やV字の深い渓谷が見下ろせて素晴らしい眺望だった。

何はさておき、天下に名高い露天風呂に向かう。
「天下に名高い」の理由の
1つは、渓谷の露天風呂までケーブルカーで降りていくという珍しさ。
2つ目はその風呂が、四国では稀有な加温も加水もしない源泉掛け流しであることだ。


館内から直接乗り場に出ると、これが空中楼閣で鉄骨だけで支えられていて、はるか下に祖谷川の渓流が見えた。
下から上がってきたケーブルカーを見て驚いた。
30〜40人が座れる大きなもので、エレベータの様に自分で運転して上下する。運転といってもスタートボタンをを押すだけの自動になっているが、当局からよく免許が下りたものと感心した。
これだけ本格的なケーブルカーを一旅館が管理・維持できるのだろうか。、もしかしたら町の持ち物かもしれない。
一番前に座って発車ボタンを押すと、ケーブルカーは標高差170mの谷底まで、傾斜角42度の急斜面を5分ほどかけて下っていった。
露天風呂は、長さが10mほどだろうか、銘石を使わず目の前の渓流に転がっている素朴な石を積み上げた簡素なものだが、それがかえって野性的な渓谷と同じ質感をかもし出し、周囲の自然と渾然一体となった入浴が楽しめる。

湯はすぐ近くから自噴し、毎分1,500リットルという湯量を誇り、湯温39.3℃の新鮮な湯が掛け流しとなっている。泉質はほのかに硫黄のにおいがする単純硫化水素泉で、驚くほど多量の湯の花によって青味がかった乳白色になり、肌に滑らかな極上の湯だった。
日頃は長時間湯に浸からない自分だが、泉温が好みの温めなこともあって過去最高を記録するくらいの長時間、湯の中に留まり至福の一刻を過ごした。

この外に、本館2階に中規模の展望大浴場があり、ここは滞在中いつでも入浴できる。
ホテル祖谷温泉は嬉しいことに立ち寄り湯ができる。入浴時間は7時30分から18時まで、露天風呂と大浴場の両方に入浴できて大人1,500円、大浴場だけであれば500円である。
食 事
宿泊料金 3人1室T付 @15,900円(税・サ込み)
食事は夕食・朝食は雄大な景色が楽しめる食事処で供される・凝った料理ではないが、食材はすべて地の物を使い、懐かしくも心温まる料理だった。

2005年5月献立

・食前酒 : 梅酒
・先 附  : 桜花豆腐
・前 菜  : 新筍船盛り  
 
       (筍木の芽和え・稚鮎姿寿司
         菜の花・そらまめ・つくし
)・
・造 里 : 阿波牛ロース肉のタタキ
       彩り野菜・すだち
・煮 物  : 百合根桜葉蒸し
       (桜麩・きぬさや・銀餡)
・鉄板焼き: 阿波地鶏の朴葉焼き
         (シメジ茸・ブロッコリー)
・焼 物  : あめご塩焼き 
         (桜しょうが・姫竹味噌漬け・スダチ)
・油 物  : 筍のはさみあげ・春の山菜てんぷら
・酢の物 : 変わり湯豆腐
・名 物  : 祖谷そば
・食 事  : とろろご飯
・香の物 : 三種盛り
・デザート:季節の果物      
元気な定年組
前 菜
造 里
焼 物
油 物
名 物
朝 食
朝食に付く「そば米雑炊」
美味なり!
「日本秘湯を守る会」会員旅館
こぎれいなロビー風景
眺望がいい食事処
窓が2方向にある角部屋
ケーブルカー乗り場
本格的なケーブルカー
170m下の谷底に露天風呂
硫黄臭、湯の花の乱舞、加温・加水無しの源泉掛け流し
満足のAR・AK両氏
24H入浴可能な内湯
下記データは変更されている可能性もあります。事前にご確認ください。