明治38年建築の本館
川端康成ゆかりの宿として、彼が一高生(現在の東大教養学部)の時に宿泊した湯ヶ野温泉の「福田屋」と「伊豆の踊り子」を執筆した湯本館がある。彼はこの旅館が気に入って亡くなる寸前まで定宿にしていたそうだ。
使っていた部屋は、直筆の書などとともに今も残されている。

狩野川の渓流を眼前に見る湯本館は木造2階建て、日本秘湯を守る会加盟旅館だ。
明治38年建築の本館には、踊り子が踊った玄関の板の間が往時のまま残されている。

部屋数は17室で、内8室にBTが付いている。
立ち寄り湯は12〜15時までで予約不要、料金は800円だが、この価値がある2つの風呂が楽しめる。
施設名 : 湯本館  (入浴日:2006.12.11)
データは変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。
所在地 : 伊豆市湯ヶ島
温泉名 : (天城)湯ヶ島温泉  
   湯ヶ島温泉 湯本館 (静岡県)
伊豆市は、2004年4月1日付けで修善寺町・土肥町・天城湯ヶ島町・中伊豆町が合併した新しい市である。

同市は伊豆半島の中央部に位置し、直線距離で東京から約100kmの距離にあり、南側は天城山系の山並みに囲まれ、西側は駿河湾に面している。

中央部には天城山から発する狩野川が流れ、北部はその沖積層により形成された田方平野が開けている。

合併により、伊豆市は「修善寺温泉」「土肥(どい)温泉」「天城湯ヶ島温泉(郷)」などを有する一大温泉町となった。

湯ヶ島温泉がある天城湯ヶ島地区は、三方を天城連山が取り囲み、9割が山林原野であるが、狩野川やその支流には、小規模で風情ある大人の温泉地が数多く点在している。
住 所 静岡県伊豆市湯ヶ島1656−1
電 話 0558−85−1028
交通機関 東名高速道路沼津ICから国道414号線、136号線で約35km
伊豆箱根鉄道修善寺駅から中伊豆東海バス湯ヶ島温泉行きで35分
施 設(日帰り用) ロビー、駐車場(20台)
宿 泊 17室(BT付き8室)
宿泊料は不詳(少し古いデータでは13、800円〜26,400円だが、HPにも記載無いので旅館に電話で照会ください)
泉 質 ナトリウム・カルシウムー硫酸塩温泉(泉温46度)
適応症 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照)
入浴時間 12時〜15時 予約不要
定休日 不定休
入浴料金 大人800円
入浴施設 内湯男女各1、貸切風呂2(内露天風呂1)
浴室備品 シャンプー、ボデイソープ、ロッカー、ドライヤー
観光スポット 浄蓮の滝、昭和の森会館(伊豆近代文学博物館・天城わさびの里など)、天城グリーンガーデン、旧天城隧道、出会い橋
伊豆近代文学博物館
天城・伊豆ゆかりの文学者・作家120人の資料、井上靖の通信簿・直筆原稿、川端康成「伊豆の踊り子」原稿などを展示、
お土産・食事 特産品はわさび、しいたけなど
食事・土産は天城温泉会館、昭和の森会館、ドライブイン、国道沿いにワサビ販売所多数。
近くの温泉 持越・吉奈・月ヶ瀬・嵯峨沢・船原・天城日活の天城温泉郷
修善寺温泉、河津温泉郷
伊豆市HP
観光協会HP
湯本館HP
http://www.city.izu.shizuoka.jp/
http://www.amagigoe.jp/
http://www.izuhakone.co.jp/travel/yuyu/yumotokan/
雑記帳 「しろばんば」「氷壁」などの名作で知られる井上靖は5才から13才まで天城湯ヶ島町で過ごした。同氏の住居は昭和の森に移築して保存している。
湯ヶ島温泉付近の斜面を利用したワサビ畑
天城越え
駒場東邦(駒東)と言えば、今でこそ東京で有数の新学校になっているが、管理者が2期生当時は、学生集めで大変、母体の東邦大学で教えていた父親の関係で無理やりここに進学させられた(弟2人は中学から)。

2年生のとき、部活していた雑誌文芸部の「文学散歩」で、熱い夏の盛り、伊豆の踊り子が歩いた天城路(旧道)を辿った。

今でも、天城と聞くと青春時代が懐かしく思い出される。
修善寺から下田街道(国道)を南下して10kmほど、西海岸の土肥温泉からの国道136号線と交差する辺りから、小さな鄙びた温泉が次々と現れてくる。船原・矢熊・月ヶ瀬・吉奈・嵯峨沢・湯ヶ島温泉などで、これを総称して天城湯ヶ島温泉郷(伊豆天城温泉郷)と言う。

これらの中で最も大きな温泉地が湯ヶ島だ。
狩野川・猫越川の合流点付近に、こじんまりとして趣がある宿が10数軒点在している。


全国には、文学と係わりは深い多い温泉が数多くあるが、この面で湯ヶ島温泉は別格で、文学の薫り高い温泉郷である
川端康成の「伊豆の踊り子」、若山牧水の「山桜の歌」、井上靖の「しろばんば」「猟銃」などの作品はこの地が舞台となっている。

余談だが、通っていた高校の1年後輩に井上靖氏の子息がいて、彼に頼み、父親から作っていた文芸雑誌に寄稿を頂いた。青いインクで書かれたこの随筆は、今も高校に大切に保管されているはずだ。
踊り子が通った「旧天城隧道」
ここは、「日本の道100選」「日本百名峠」にも選ばれている。
男女がここで出会うと結ばれるという湯ヶ島温泉の「出会い橋」.。
川端康成の写真。使っていた部屋は立ち寄りのため見学できなかった。
簡素なロビー
テラスから狩野川を見下ろす
浴室は広く、2方に天井からのガラス窓があるのでとても明るい。床も浴室もすべて石板が敷かれ端正な姿だ。2.50mx6mくらいの風呂には、やわらかな石膏・芒硝泉(カルシウム・ナトリウムー硫酸塩温泉)が満々と注がれていた。
テラスに出て、横の階段から庭園を下っていくと簡素な脱衣小屋がある。
その先に、狩野川の清流と一体となった野趣豊かな露天風呂がある。川石で囲った風呂は6,7人が入れる大きさで、ここは貸切になっている。
街道から見る湯本館。
川端康成が「伊豆の踊り子」を執筆した部屋が今も残る湯本館。
端麗な内湯、狩野川と一体となった貸切露天風呂が共に素晴らしい。
日本の滝100選の「浄蓮の滝」。高さ25m、幅7m、滝壺の深さ15m。