旧安曇村の町域は、松本市の西方に位置し、西は岐阜県に接していた。
村は、槍ヶ岳・穂高岳・乗鞍岳などの山岳地帯から標高660m〜1,500mの乗鞍高原に及んでいた。
「過去形」で言うのには訳がある。
2005年4月1日、白骨温泉が位置する安曇村は、他の3村とともに松本市に実質的に吸収されたからだ。
一時、古代史に凝ったときに知ったが、「安曇」は歴史的に興味深い名前だ。
古代、同じ海人族の宗像族(宗像神社)は大和朝廷に帰属し、反抗した安曇族は戦いに破れて各地に散った。
安曇族の後裔が移り住んだ安曇、阿曇、安津見、渥美、渥見などの地名の一つが、ここの安曇という説があるからだ。
今回の合併により、松本市は日本を代表する山岳観光地(上高地・乗鞍岳・乗鞍高原)と白骨・乗鞍高原温泉などの温泉地を一挙に手に入れることになった。
これらの山岳スポットは、(松本)市にあるより(安曇)村にある方が感覚的に馴染むが、行政の効率化を考えれば止むを得ないところだろう。
2004年7月、白骨温泉の公共野天風呂に草津温泉の湯の花から作った入浴剤を入れて、乳白色に偽装していたことが報道され、その後、旅館3軒も同じ偽装をしていたことが判明した。
これにより、野天風呂は一時閉鎖されていたが、2005年5月、偶然に再開直後に訪れ無料で入浴した。
今回、4年半ぶりに温泉仲間とともに訪問 平日にもかかわらず多くの観光客で賑わっていた。
住 所 |
長野県松本市安曇白骨温泉 |
電 話 |
0263−93−3251(観光案内所) |
交通機関 |
(東京から)長野自動車道松本ICから国道158号線等で約40km
(大阪から)東海北陸道飛騨清美ICから(高山経由)国道158号線等で約90km
松電新島々駅から松電バス白骨温泉行きバスで55分、終点下車 |
施 設(日帰り) |
駐車場(案内所横にあり) |
宿 泊 |
不可 |
泉 質 |
含硫黄ーカルシウムー炭酸水素塩温泉
泉温34.5℃
|
適応症 |
不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照) |
入浴時間 |
8時30分〜午後5時(4月〜10月) |
定休日 |
不定休 |
入浴料金 |
大人500円 小人300円 |
入浴施設 |
露天風呂男女各1 |
浴室備品
(日帰り) |
無し |
観光スポット |
温泉街周辺(天然記念物の噴湯丘跡・中里介山文学碑)
上高地、乗鞍高原、乗鞍岳、安曇野、奥飛騨、高山、松本 |
お土産・食事 |
近くに食事処あり。 |
近くの温泉 |
乗鞍高原温泉、さわんど温泉、奥飛騨温泉郷(平湯・福地・新平湯・焼岳・栃尾・新穂高)・坂巻温泉、中の湯、上高地温泉 |
松本市HP
旅館組合HP |
http://www.city.matsumoto.nagano.jp/
http://www.shirahone.org/ |
雑記帳 |
白骨温泉から乗鞍高原(温泉)までは有料の乗鞍林道で30分足らず、白樺の木が生い茂る高原は爽やかで美しい。 |
所在地 : 松本市安曇白骨 (旧 南安曇郡安曇村)
上記の2つのルートの何れでも、白骨温泉の案内所に到達する。
その真下の谷底に、問題になった「白骨温泉野天風呂」がある。
上から風呂を見下ろすと、男性用の湯船は丸見え状態だ。
その入り口から谷底に向かって高低差30mほどを下っていくと、木造の素朴な湯小屋に着く。
入浴料金は500円になっていて、かなり強気の設定だ。
風呂は、渓流沿いに設けられた半径5mほどの円形の露天風呂のみで内湯は無い。(女性用が別にあり)
平成9年12月、 長野県と岐阜県の県境をくり貫く長さ4.4kmの安房トンネル(有料)が開通し、首都圏方面から奥飛騨温泉郷・高山方面への通年通行が可能になり、所要時間が著しく短縮された。
白骨温泉へは、この安房トンネルの前後から国道158を左折(松本方面から)・右折(高山方面から)する2つのルートが有る。
松本方面からの場合、一つは安房トンネルのかなり手前、「乗鞍高原(温泉)」方面の標識に従って左折、県道84号線(乗鞍岳泉)を進み乗鞍高原にいったん出てから、乗鞍林道(有料)を少し走って白骨温泉に向かう。このルートは快適な高原ドライブが楽しめ、通年通行が可能だ。
もう一つは、高山方面から安房トンネルを通過してしばらく走り、県道300号線(白骨線)に乗り換えて1.5車線の道を7kmほど進むルートだが、人によっては少し緊張を伴うかもしれない。現在は、通年通行にすべく工事中である。(完成平成24年11月末予定)
13軒の宿は、半径1km以内の山間に点在している。標高1,400m、山深い乗鞍岳北東中腹にある白骨温泉は、旅館数が多いので、世間的には秘湯と呼ばれることが少ないが、周囲の厳しい自然やアクセスの不便さからすれば、まさに秘湯と言っていいだろう。
「白骨」という特異な名前は、もともとは「白船(しろふね)」と言われていた。この白船は、温泉に含有されている石灰成分が、木製の湯船に付着して白くなることに由来している。
明治時代の「大日本地名辞典」には、白船・白骨の両方で紹介されている。その後、中里介山の長編小説「大菩薩峠」で、「白骨の巻」として登場したので、全国的にこの名でが知れ渡り、「白骨」の名が定着した、というのが通説のようだ。
国道158号線から白骨に向かう乗鞍林道入り口「この先山岳道路・速度・車間注意」の電子ボード。
データ (データは変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。)
湯の花の混入が止められた湯はもちろん白濁ではないが、それでもオーストラリアオパールのように透明感のある青白色でとてもきれいな色だ。なにも偽装する必要がない温泉らしい温泉だ。
湯温はそう熱くもなく、ゆっくりと湯船浸かって周囲を見上げると、両側の崖の木々の新緑が陽光を通して、目にも鮮やかだ。風呂から少し身を浮かすと、眼下に渓流が流れ、自然と一体になった入浴が楽しめる。
温泉旅館はあちこちに点在している。
野天風呂入り口、ここから谷に下る。
施設名 : 白骨温泉野天風呂 (入浴日:2005.5.30 2回目:2009.10.23)