カトリーヌ・ドヌーヴ、ニーノ・カステルヌォーヴォ主演の1964年制作・フランス映画です。
あらすじ:シェルブールの街の傘屋の娘ジュヌヴィエーヴ(ドヌーヴ)とギー(カステルヌォーヴォ)は恋人同士。
やがてギーに召集令状がくる。兵役にいけば2年は帰れない、それを嘆くジュヌヴィエーヴに
ギーは待っていてくれという。その晩ふたりは一緒に過ごす。 ギーの出征後、ジュヌヴィエーヴは
妊娠に気づく。店の経営が苦しい母親の宝石を買い取ってくれた宝石商カサールは、全てを知った上でジュヌヴィエーヴに
求婚する。やがてギーからの便りが途絶えてしまい、不安なジュヌヴィエーヴは母親の勧めもあり、
カサールと結婚してシェルブールを去る。やがてギーが戻り、事実を知り絶望するが、体の悪い叔母の面倒を
見ていてくれた女性と結婚し、叔母の遺産でガソリンスタンドを始める。
そして数年後の雪のノエル、そのガソリンスタンドにジュヌヴィエーヴが偶然立ち寄る。それぞれ、子供に昔に考えていた
名前をつけていた。ふたりは少し会話を交わすが、最後に
「あんた、元気?」「あぁ、とても元気だよ」という言葉を交わして別れる…。
台詞が全て歌、オペラ形式という珍しい映画です。ですから声は別の人があてています。
一時間半ほどの短い映画で、いい場面もたくさんあるんですが、これ!というのが思いつかず、結局当時のポスターデザインを借りて
ポスター風な絵にしました。(手前はカサールのジェロさんです)監督はあのLady Oscarの監督でもあるジャック・ドゥミーです。
音楽はミッシェル・ルグラン、この主題歌も大変有名です。
ストーリーとしては勧善懲悪や感傷だけで割り切れない、多くを語り過ぎないところが憎い程で、フランス映画らしい映画といえる
一本のように思えます。雪の降りしきるガソリンスタンドをズームアウトしていくラストがなんともいえず、私は好きです。
ラストの台詞には表現以上の意味があるように感じます。
ひとつ、個人的には、
ストーリーをざっと追うと悲恋、という感じですが…それより「ふたりは若かったのね」という気がします…。
理由は、まず、ジュヌヴィエーヴの心の動きが早過ぎること。いくら妊娠で気持ちが不安定、そして手紙が来ないからといって
ギーの出征後数ヶ月で心が揺れ始め、半年でカサールと結婚しています。この辺「あなたがいなければ生きていけない」
と言った言葉からするともうひとつしっくりきません。そして基本的に悪人がいないこと。しいて言えば戦争・運命が悪者?ということになりますが、
他には誰かのせいで彼らが結ばれなかった、というのではないのですね。いわゆる「悲恋映画」とはひとくちでは言えない
映画ではないかと。
こちらはゆば様のリクエストです。(ゆば様はフランス映画に造形の深い方なのであります♪)
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