CACE4 「例えば推理をした場合」
深夜、地下のワイン庫にはワインよりも赤い血液の水たまりが広がっていた。
「な、んで...」
血黙りにはうつむけに倒れて沈む初老の男。でっぷりとした体を宵闇の電球で赤く染まるバスローブに身を包んでいた。
初老の男は腹部をナイフで刺され、まさに死を迎えようとしていた。身体を襲っていた暴虐なまでの熱の固まりも嘘のように引いていく。流れ出た血液が体温まで根こそぎ奪っていた。
わけもわかぬまま、薄れ行く意識の中で自分を刺したそいつを見上げる。
そいつは、血がべっとりとついて鈍く輝くナイフを振り上げて...
BackstageDrifters.