半年間が過ぎるまでに、メイが携わった依頼は多岐にわたり、タツマもその全容を知っているわけではない。
だが、実のところタツマにはメイの保護観察という役職をルイスから承っており、半年で一番、彼女の仕事を見てきたことも確かである。
これは、その中の一説に過ぎないが...
事の発端はメイが墓守協会より受けた依頼にある。
つまり今回の件は、タツマ及び警察は部外者であると言うことを、まず理解していただきたい。
CASE4 屍骸術師と保険金
自殺。
近年その件数が雪ダルマ式に増大し、オークノート市警を悩ませている。
理由は簡単だ。
墓守協会主催の課金式遺族義援金制度。いわゆる、
――『生命保険』
なんてものが広く背間に認知され始めたからである。
「命がお金になるなんて変な世の中ですよね」
臆面もなく呟くメイ。蕎麦を持つ箸を止め、
「...なんですか、その何か言いたげな目は」
「いや、なんでもない」
タツマは、口ほどに物を言っていたらしい目を閉じて、
「ま、生命保険自体はいいシステムだとは思うがな。まだまだ使う人間の幼稚さが否めないってだけだ」
だから安易に自殺に走る者が増える。
これはそう言う事件ではあったのだ。
BackstageDrifters.