建物の構造性能を確保する為には、構造設計内容を施工に反映出来るように、施工者に理解できるように図面上で表現しておかねばならない。
かといって、前回話をした雑壁まで含めた、ありとあらゆる情報を書き込んでしまうのも非現実的である。
従って、一般的に認知されている項目等を除いた、構造上のキーポイントとなる内容だけを設計図上に表しておくことが現実的だろう。
不足する分は実地でレクチャーをするなり、参考資料を用意(させたり)して対処することになる。例えば金物関係では、Zマーク金物は「日本住宅・木材技術センター」等から資料が出ているし、同等品も各メーカーが「取扱説明書・マニュアル」の類を用意しているはずである。
構造的なキーポイントとしては3つあげることができる。
一つめは、いうまでもなく、梁・柱等の各部材の配置・断面、耐力壁の配置等の基本的な項目を設計図上で表示しておかなければならない
二つ目は、接合部(ほぞの形状、梁のアリ仕口等)の形状・耐力壁(筋かいや合板壁)・床の各仕様、それから将来的には必要なくなるかもしれないが、Zマーク金物類の取り付け方法の具体的な仕様等である。
これらの項目は構造計算(壁量計算)時には形状や仕様が仮定され、その上で計算が進められているので、設計図書上には先に示したように仕様や施工上の注意点を設計図書上で表現しておくべきである。
私のところでは、今回例に出した箇所だけでなく、構造的に重要と思われる箇所については、標準図という形で図面を用意している。
三つ目は、一般的な構法で納め切れない部分をあらかじめ検討して、その部分の構造的な解決方法を詳細図として示しておくことである。
もちろん、意匠上の納まりとの調整をあらかじめしておくことが出来ればそれにこしたことはない。