雑壁・耐力壁全ての面材は軸組が菱形に変形しようとした場合、面材自身は元の形を保とうとして回転して抵抗する。 耐力壁の場合、柱脚部が金物で固定されていて、建物上部の拘束効果を考えなければ、独立柱構造ととらえることができる。壁の変形は耐力壁の面材の変形(正確には留付けている釘の変形)になる。 実際には、建物の重さによる押さえ込み(カウンターウエイト)効果や、梁の曲げ戻し効果があるので、独立は柱というよりは半ばラーメン構造に近いということもできる。実際、N値計算では曲げ戻し効果として、建物内部では0.5という引抜力の低減値が与えられている。 0.5ということは柱頭側の固定度がかなりあるということなので、梁の断面が小さくて短い場合や継手がある場合は梁単体だけではとてもこれだけの曲げ戻し効果はないと考えられる。床や、垂壁・腰壁類が梁を拘束する分の寄与も少なからずあるはずである。 次に、雑壁のみの場合は、面材自身の抵抗システムは共通だが、変形に関しては柱が曲げ変形する分を追加して考えなければならない。 実際の建物では大抵の場合、耐力壁間に窓・出入り口の垂壁・腰壁がつながる形をしている。 この場合だと、耐力壁が柱を拘束して柱に曲げが生じないため、柱の曲げ変形の影響を考える必要はない。そのため、耐力の計算も足せば良いだけで簡単に出来る。 壁量計算が耐力を長さで表していることを考えれば、面積に耐力が比例するので、雑壁類の耐力は、壁倍率に耐力壁の高さに対する雑壁の高さの比を乗じてやれば簡単に求めることが出来る。 |
耐力壁と雑壁 |