2階建てまでを対象とした簡易設計法である。
許容応力度計算がベースで、連続梁の曲げ戻し効果や建物重量による押さえ込み効果が考慮されている。
しかし、曲げ戻し効果や建物重量による押さえ込み効果は、ある規模の建物仕様を想定した仮定がなされている。
具体的には、曲げ戻し効果は実験結果などから一律に「隅部は耐力壁によって発生する引抜力の80%、それ以外は50%」と仮定され、建物重量は下図のように仮定されている。
この想定された仕様に合わない場合は、引抜力を割り増すなど状況に応じて判断する。
例えば金属屋根・狭小間口(2間以下)・端部直交壁無しなどの条件が重なる場合は、想定よりも屋根荷重が軽く、負担面積も小さく、さらに直交壁が拘束する効果もないので、N値計算では引抜力が過小評価になる危険性がある。
吹き抜け(階段含む)や下屋がある場合、N値計算法では長期荷重(固定荷重・積載荷重)が上図のように一定の条件の場合のみであり、吹き抜け等により想定の長期荷重を下回る恐れがある。
また、横架材の継手や仕口の状況による影響も考慮する必要がある。
N値計算では、長期荷重による押さえ込み以外にも、梁の曲げ戻し効果も考慮されるため、曲げ戻しする横架材の継手や仕口が、応力の伝達が出来るように金物等で補強が行なわれていなければ、仕口や継手部が破壊する可能性がある。
中規模程度であれば問題ないかもしれないが、大規模の地震時に想定以上の引き抜き力が発生し、倒壊につながる可能性がある。
このような事はN値計算を教える人間が理解して、一般の設計者・施工者へ正しい知識を教える必要がある。
また、公的機関である(財)日本住宅・木材技術センターがこういったことに注意を促す必要がある。
なお、荷重等のカウンターウェイトの考え方は、田原建築設計事務所が提案し採用されたもので、日本建築学会の1999年度大会と2000年度大会で発表したものであり、1999年度 農林水産省補助事業 住宅資材性能規定化対策事業の一環で、「木造軸組住宅資材性能把握事業報告書」としてまとめられ、(財)日本住宅・木材技術センターへ提出したものである。
(また、このカウンターウェイトの詳細な内容について、後日まとめて掲載していく予定)