面材の構造特性は、下記のようなことがいえる。
@面材で構成された耐力壁は、柔らかく壁倍率が小さい(目安として2.0未満)とせん断変形を起こし、面材自身がひし形に変形しようとする。
A面材で構成された耐力壁は強ければ大きな壁倍率が得られ、比較的自由なプランが可能となるが、壁が強ければ強いほど、それだけ大きな水平力に耐えようと壁の四角の直角保ったまま回転しようとして、その分大きな引き抜き力が柱脚に生ずる。
補強金物は、この引き抜き力に耐えるようなものを選定する必要がある。
強い面材を張った場合は、下図に示すように面材自身は変形せずに、周辺軸組みと一体になって剛体回転を起こす。
面材の取り付く柱頭部には筋かいの場合のように、横架材の突き上げ・突き下げ・引き抜き力が集中力として発生しないので、柱脚部と同様の耐力を有する金物で補強する必要はあまりないと思われるが、告示第1460号の仕様による場合は、筋かい・面材耐力壁の有無によらず、一律に告示仕様に従って金物で補強しなくてはならなくなる。
面材張りの耐力壁の場合、構造計算により柱脚または柱頭に必要とされる引張力が、当該部分の許容引張耐力等を超えないことを確かめれば、下記式の検討の結果、柱脚部と柱頭部が同様の金物で補強する必要はなくなり、必要最低限の金物で建築が可能となる。
壁倍率からくる柱の 終局時のうき上がり力 |
≦ | その材が取り付く横架材(梁,桁等)の カウンターウェイト+直交壁の抵抗効果等 |
= | 金物不要 |