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No.4 改正基準法(仕様規定化)に伴う接合金物の仕様について

2002年8月


2,阪神・淡路大震災の被害状況とその後の状況

2-1 震災の被害状況

木造建築物の最も重要な接合部分が、行政や設計者のきちんとした検査がほとんどないまま「個々の判断や経験値」で施工され、地震時の上下動による揺れでなく水平動の横揺れにより柱や梁等の横架材がはずれ、倒壊や崩壊に至ったのである。

以下、その事例を一部写真で添付する。




出隅柱のほぞ抜け出し

:地震力を受けた壁により柱に引き抜き力が生じ、土台・基礎と緊結できていないため、ほぞが抜けるが、元に戻らず、変形が過大となって、モルタル壁が壊れた。



たすき筋かいの切断

外壁のモルタル壁と内壁の土壁の抵抗力がよく効いたのか、内部軸組の筋かいには負担する水平力が小さく特に損傷が見受けられなかった。そのことが幸いであったが、このたすき筋かいの交点では片側の筋かいが切断されて、釘が3〜4本で接合されている程度であった。




2-2 震災後の現場

震災であのような被害を受けた阪神地区でさえ、まだ一部の現場では継ぎ手・仕口の接合部に正しい金物の使い方を認識せず、施工する例があとを絶たない。

以下の写真は、被災地建設現場(震災1年以降〜5年の間)での現況である。




半割筋かいの端部

突きつけで、土台を一部欠きこみ、3本の斜め釘止めとなっている。



太めの釘を、呼び穴をあけず打ち込んだため、割れが生じている。

また筋かい木口との端距離が少ないため、筋かいに引張力が生じれば、釘は抜けると思われる。





胴差と鋼製火打の仕口

床の水平構面の変形が一番大きくなる隅角部で継ぎ足しあわしたような胴差の継ぎ手があり、そこへ鋼製火打ち金物が取り付いている。

水平構面の補強には効果なし。

逆に胴差しの継ぎ手を破壊する恐れがある。



以上の問題点を踏まえて、次に接合金物の使い方について説明する。




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 ©Tahara Architect & Associates, 2003