先ほど述べた構造計画・構造計算で仮定した架構部材や接合部の形式などを施工者に伝え、実際の建物として実現するために、構造図が必要になる。
現代の木造住宅では、構造上の標準的なディテールを書いた標準図と伏せ図・軸組図そして詳細図で構造図が構成される。
標準図は、基礎で使う鉄筋とコンクリートに関するもの・標準的な継手仕口に関するもの・補強金物に関するもの・その他施工手順などで10枚程度にはなるだろう。
詳細図は、伏せ図・軸組図で表現しきれない主要な部分を詳細に書き表すものである。
その枚数は、場合にもよるが5〜10枚、特殊なディテールを使用する場合はそれを超えることもある。
これらを合わせると、住宅の場合でも構造図は、30枚程度は必要になると思われる。しかし、現状は簡単な伏せ図と軸組図で、5〜10枚程度しか構造図が無いことがある。
このような図面で分かるのは、梁や柱の配置断面の情報及び耐力要素の配置情報程度で、接合部の状態などの構造的に重要な部分が、施工者任せになってしまう。
これらが欠陥住宅につながるのである。
また、将来建物を改装することになった場合や、何らかの災害で建物を修復しなければならない場合に備えて、外からは見ることの出来ない構造体の情報を記録するのも構造図の役割である。
医者のカルテのように、見るだけで建物の状態が分かるような構造図が望ましい。