木構造建築研究所 田原

本ページの内容は2004年改訂版の耐震診断法に関する説明です。2012年改訂版の内容には対応していません。
2012年版については「耐震診断ができる、わかる。耐震補強マニュアル」をご覧ください。

2.3.2-2 耐力要素の配置等による低減係数 E

耐力要素の配置等による低減係数E は4分割法における壁量の充足率と床構面の仕様より下表により求めます。

耐力壁要素の配置等による低減係数

4/4ゾーン
の充足率
1/4ゾーン
の充足率
0.00〜0.320.33〜0.650.66〜0.991.00〜      
床仕様
0.00〜0.32I1.000.700.600.60
II1.000.500.450.45
III1.000.300.300.30
0.33〜0.65I0.701.000.800.75
II0.501.000.800.75
III0.301.000.750.75
0.66〜0.99I0.600.801.001.00
II0.450.801.001.00
III0.300.751.001.00
1.00〜 I0.600.751.001.00
II0.450.751.001.00
III0.300.751.001.00

床仕様の区分については下記によります。

但し、4m以上の吹き抜けが存在する場合は、下表より床仕様の区分を1下げて適用するものとします。

床仕様診断項目床倍率
I合板 1.00
II火打+荒板0.63
III火打なし0.39

低減係数Eは耐力壁の配置が偏っている場合の部分的な耐力の低下を評価する係数です。床仕様により低減係数が分けられています。

床仕様Iは合板貼のような剛性が高く、床全体が一体となるような仕様(剛床)です。この場合は、耐力壁の配置が偏っている(偏心)状態の時に、力のつりあいによって、地震力が建物の耐力壁の少ない側に集中する傾向があるため、1/4ゾーンの充足率の比が大きいほど低減が大きくなるように低減係数を決めています。

床仕様IIIは荒板を打ちつけただけの仕様(柔床)です。この場合は建物全体で地震力が分配されず、各部分ごとの耐力で耐震性がきまるため、本診断法では各1/4ゾーンの充足率の内で充足率の低い方の数値を元にして低減係数を決めています。

床仕様IIは仕様Iと仕様IIIの中間値として定められています。

また、吹抜け(階段室含む)の影響は、4m以上の吹抜については区分を1下げることで考慮しています。しかし、狭小間口の建物等ではより慎重に考えるべきでしょう。

©2004, tahara architects. last modified 2005/01/06