旧建築基準法では耐力壁の配置に対しては、「釣り合いよく配置する」とだけでその具体的な方法が規定されていなかったので、都市型住宅に多い狭小間口の場合、前面道路側では開口が多く壁がほとんどない。さきの大震災ではこのような壁の配置バランスが悪い家が、壁の配置が少ない側(道路側)が大きく変形するように建物がねじられて、多く倒壊した。
このことは、釣り合いよい耐力壁配置が建物の性能に大きく影響を与えることを示しており、後の建築基準法改正では耐力壁のバランスよい配置の規定(偏心率の制限)についてはかなり強化された。
耐力壁の配置のバランスが悪く、遠く離れた耐力壁に生じた力を伝えなければならない場合や、建物の形が複雑になってきた場合は建物内部の力の伝わり方も複雑になり、本来はそのことを考慮した設計がおこなわれている必要がある。
しかし、もともと「壁量計算」では平面のバランスが良く、上下方向も総2階建てで各階が一体であることを前提にしている。震災では、入り隅部分やオーバーハングした建物等が接合部で破壊された例が多くあった。そのようなバランスの悪く壊れやすい家の例を、順次紹介していく。
従って、建物のバランスを考えるに当たっては次の内容を考えておく必要があるといえる。
一方、既存の診断法では、偏心率は具体的に考慮されていていて、偏心率を検討し評点に反映するが、水平構面・接合部については考慮の必要性が言及されている程度であり、具体的な評価方法は定められていない。
駐車場と玄関が並んだ家 | 全面が駐車場の家 |
南面が広縁になっているの家 | 1階がお店になっている家 |
片廊下式の集合住宅 |
L(T)字型の家 | 複雑な平面形状の家 |
オーバーハングのある家 |
開口が多く耐力が不足していた例 | ピロティ部は耐力上の欠陥となりやすい。 |
前面にガレージがあった家の例 | 店舗のため前面が全て開口になっていた例。 |
開口が多く耐力の不足していた家の例 | 開口が多く耐力の不足していた家の例 |