1995年1月17日に起きた「兵庫県南部地震」は大都市直下型の内陸断層型地震であり、その被害は甚大で、6000余人の人々が犠牲になった。
その内、木造軸組構法の住宅で亡くなった人の数がおおく、木造軸組工法の住宅には耐震性能上不適格な建物が数多くあることがあきらかとなった。
日本全国では現行建築基準法における既存不適格と思われる住宅はまだまだ多数存在し、それらの住宅に、将来起こると思われるプレート型地震や内陸直下型地震への早急な対策を行う必要がある。
特に都市防災として個人の資産への耐震対策は、公共建築物と違いまだまだ遅れており、その事が建築行政としての最大の課題である。
耐震対策においては耐震診断が重要になってくる。
既存木造住宅における旧版の耐震診断法は、診断を易しくするためにかなり簡略化されている。しかし、方法だけが一人歩きしてしまい、簡略化の際に前提としている条件や、診断方法の原理等が広く認知、理解されていない面がある。その為、正しい診断が行なわれているかどうか分からない、評価していない箇所で壊れてしまう可能性があるといった問題が生じている。
そこで旧版における耐震診断法では評価しきれない、問題点を列挙して解説する。