4.考察で示したとおり、本報では以下のような2種類(モデル1、2)のアプローチによりモデル化を考えた。
@モデル1・・・長方形の1辺の長さすなわち浮き上がり限界の梁からの距離を、実験の梁・床の浮き上がり範囲の測定結果をもとに定める(直交壁金物なし:2.1(m)、金物あり:1.8(m))。
Aモデル2・・・壁線間を2分割した浮き上がり範囲。
それぞれ、以下の特徴がある。
長所:
実験結果を基に浮き上がり範囲を定めたため、全体的に精度よく評価できる。
問題点:
@耐力壁線間隔が狭い場合、浮き上がり範囲の重複部分を低減して計算しないとカウンターウェイトが過大に評価される危険がある。
A本実験の試験体が剛床であるため、この浮き上がり影響距離は、比較的剛床な建物の場合のみ有効な値であると思われる。
長所
考え方が簡易であり、壁線間隔が狭い場合にも計算がしやすいこと。
問題点
@耐力壁線間隔が大きいときカウンターウェイトが過大に見込まれてしまう可能性があるので、壁線間隔の限界値を設定する必要がある。
Aモデル1に比べ、実験値との差が大きい場合がある(今回の実験のように、梁中の突き上げが1カ所のみの梁が多い場合)。