柱頭ロードセルの計測値は変形により正しく計測されなかったり、ジャッキ部の抵抗が含まれている可能性があるものもあり、正しいカウンターウェイト値を示していないと思われる。
そこで、浮き上がり範囲から得られるカウンターウェイト値CWUを参考にCWlを補正し、補正前後について前記の一覧表に掲載した。
補正前の表のCWlとCWUの関係から、ジャッキ部の抵抗は載荷状況によって左右すると思われ、耐力壁の位置や載荷方向によってCWl/CWUに一定の傾向が見られることから、CWl値の補正を行った。その傾向を以下の(1)〜(6)に示す。
なお、表中の値は、ジャッキ部の抵抗(先に記述した抵抗を検討する小実験から計50(kg)程度見込まれると思われる)及びジャッキ荷重を含めていない。
・・・ 1間半の構面の中央に耐力壁があり、ジャッキ部から半間のところで柱による突き上げが発生する場合、ジャッキ抵抗による押さえ込みが大きいのか、CWUに比べCWlがかなり大きな値を示している。柱頭ロードセル値を0.7倍に低減して補正を行った(CWl×0.3がジャッキ抵抗とみなした)。
・・・ (1)と同様にジャッキ部から半間のところで柱による突き上げが発生し、押し載荷時程ではないがCWUに比べCWlが大きな値を示している。柱頭ロードセル値を0.9倍に低減して補正を行った(CWl×0.1がジャッキ抵抗とみなした)。
・・・ 1間半の構面の中央に耐力壁があり、引き載荷時に限り、CWUに比べCWlがかなり小さな値を示している。柱頭ロードセル値を500(kg)増して補正を行った。原因は推測できないが、次の(4)も見られるように、今回の実験では引き載荷時の柱頭ロードセル値が小さくなる傾向が見られた。
・・・ 1間半の構面の両端に耐力壁がある場合、引き載荷時に限り、CWUに比べCWlが比較的小さな値を示している。柱頭ロードセル値を1.2倍にして補正を行った。
・・・ 浮き上がり範囲が大きい場合、大きなカウンターウェイトを1本の柱が負担する。その場合、CWUに比べCWlが比較的大きな値となった。浮き上がりによるCWUが直線的に結んだ範囲でのもので実際には円弧状に浮き上がりが生じている可能性もあるが、安全側の考えで、CWlを1割低減した。
・・・ この試験体では直交耐力壁が存在し、柱頭がNo.3-2、No.3-4と同様に金物で締結(耐力壁のすべての柱頭)されており、同様の抵抗効果が見られた。ひずみゲージを取り付けていないので、No.3の時の直交壁の3カ所に柱頭金物を設置した場合(Y1通り)の金物抵抗と同程度の抵抗値をCWlから低減することとした。
以上の6種類の柱頭ロードセル値補正を行った。いずれにしろ今回の実験においてカウンターウェイト荷重の正確な測定はできなかったといえる。
しかしながら、浮き上がり範囲計測範囲を直線的に考えたCWUの値程度は少なくともカウンターウェイトとして発生していると考えられる(安全側の考え)として、考察、モデル化を進めた。
今後のカウンターウェイト実験の際には、載荷方法及びカウンターウェイト荷重値の測定について検討の必要性があるが、その参考としてCWLの値をCWUの値に合わせるような形で上記のような補正を行った。