光明寺 耐震改修工事4.光明寺建設地における想定地震動
− 4-2.阪神・淡路大震災における大阪市域の地震動の特徴

4−2−2.被害分析のまとめと検討課題

大阪市域は震源域からの距離が離れていたため、阪神間のような大きな地震動を受けず、全体としては建築物の被害は小さかった.しかしながら、震度5程度の地震動でも構造種別あるいは地域によっては、相当な被害が生じた。

大阪市内の建物被害は市内北西部に分布しており、概ね強い地震動の観測された地域や、液状化発生の集中した地域との相関性がみられている。古い木造建物の分布と建物被害は概ね相関性があるが、西成区の一部など他の要因が考えられる被害もある。

一方、液状化の発生状況については次のようなことがわかった。

・液状化に伴う噴砂泥跡は、市内西部(西大阪)の臨海部に多く分布しており、特に此花区や西淀川区では液状化がかなり広い範囲にわたって発生したと推測される。

・西大阪は上部沖積層が広く厚く堆積しており、液状化の危険度が潜在的に高い地域であり、今回液状化が発生した場所もこれらの場所に概ね対応している。

・明治以降の埋立地や旧河道、中州跡、堀、運河跡などの人工改変地に多く発生した。

現在、市民局調査にて上町断層の調査が進められており、想定地震動の精査や液状化発生の危険性についても検討が進められる予定である。

大阪市域の地盤は、層厚30mの沖積地盤を有する東大阪、更に埋め立て層を有する西部埋立地域に大きく区分される。このような地盤特性を考慮したうえでの地盤と液状化、地盤と基礎構造に対する検討が大阪市固有の課題であろう。


 ©Tahara Architect & Associates, 2003