No.25 ちはや園地整備(14) 新築工事

2003年3月
国産の小断面材を使用した最大支点間距離20mの屋外休憩施設
意匠設計(株)一色建築設計事務所
構造設計木構造建築研究所 田原(担当: 村田)
施工者 大橋建設(株)

本施設は、大阪府の最高峰である金剛山の山頂で、標高千メートルで計画された野外休憩施設である。
 主要構造材のほとんどが地元大阪府の河内長野産材の桧であり、元口直径20cm程度のごく一般的といえる材を使用した。








 
小屋組み架構形状

スパン13mの小屋組み架構であり、その空間を構成するため、通常ならば集成材か、鉄骨を用いたトラスで構成する場合が多いと思われるが、小径の桧丸太とせん断パネル(Jパネル)を組み合わせて構成した。


丸太を組み合わせる技術を持っている大工がいて初めて出来る架構であったが、難なく刻み上げた大工の力量には感心するしかなかった。
仮組み状況  


全長約10mの合成梁
  建て方


ウェブ面にせん断抵抗要素として「Jパネル」を利用した。中央部の穴は通風と少しでも軽量化するためである。
フレームの設置  

 

建て方途中の状況




この中央のリング梁は、通常であれば鋼製のリングか構造用湾曲集成材を設置するが、本建物は日本の伝統的な樽や桶の一部に利用される、杉板を曲げる技術を用い、この木材の特性を活かして、リング梁に応用した。

構造用湾曲集成材を使用しないで杉の板材による可能性を引出した構造的な試みである。

 ©Tahara Architect & Associates, 2003