意匠設計 | : | 徳岡昌克建築設計事務所 |
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構造設計 | : | 木構造建築研究所 田原(担当: 村田, 中尾, 鈴木, 村城) |
施工者 | : | サンエース |
テラス広場休憩所、流れ中流部休憩所、流れ下流部休憩所の3棟はそれぞれデザイン・構造システムが異なる。
まず、この木造施設の構造的な概要を説明すると、日本古来の木造建築技術を現代工学において解析し、安全性能を担保している点にある。
その伝統的木造建築技術とは、木の組み合わせによる「合い欠き」、「貫」、「渡りあご」、「面格子」等である。
さらに、杉の板材を湾曲加工し、積層した湾曲梁でこれは、「わっぱ」等の日本古来の板を曲げる技術であり、この様に多様な技術をおおまかな構造モデル化し、安全を考慮した解析、現場による簡易実験で、確認し施工している。
日本の伝統的木造技術の構造特性を説明するならば、木と木を組み合わせ、お互いが対等の強度性状となり、相互のめり込みあいにより、粘りを発揮させることである。
この棟の構造的特長を説明すると、「独立柱と登り梁を支える湾曲積層梁」という表現になるかもしれない。
構造力学的表現で言うならば「独立柱のラーメン構造」であるが、木造建築は本当の意味ではラーメン構造でなく、半剛接構造であり、接合の特性は「バネ定数」で表現したほうが正確である。
長期的な応力は登り梁と杉板による湾曲積層梁で処理し、水平時応力は屋根の水平構面よりのゾーニング水平力を独立柱が受け、柱脚部におけるRC基礎に定着されているSD345のD25が、柱脚部の座金で柱と緊結されている。
柱頭も2本のボルトで緊結されているが、安全をみて、計算上はピン接合としている。
なお、柱は奈良県吉野の杉丸太で樹齢150年近くあり年輪の付き方からしてヤング係数は建築基準法の数値以上あると思われるが、構造計算においては建築基準法のヤング係数を採用している。
杉板湾曲積層梁は集成材の姿をしているが、接着剤は一切使用しておらず、ステンレスのビスで接合されており施工時に、一番性能の悪い材料で現場実験し、破壊湾曲率を求め、その半分の湾曲率で構成されている。
もうひとつの特徴は、梁間に渡されたアーチ梁である。
この杉板湾曲積層梁は集成材の姿をしているが、接着剤は一切使用しておらず、ステンレスのビスで接合されており、施工時に一番性能の悪い材料で現場実験し、破壊湾曲率を求め、その半分の湾曲率で構成されている。