この棟の構造特性は一言でいうならば天秤構造といえる。
下図のように、C材の梁が屋根荷重を受けてたわもうとして、吊り束を押し下げ下部材のB材の梁を下げようとすると、B梁は外部に持ち出している先端部分に、吊り束からかかる荷重の2倍以上の荷重が、B梁をRC造の柱を支点として跳ね上げようとして、B梁が釣り合うのである。
本棟の水平時応力は地震よりも風で決定され、局部的な吹上や吹き下ろしを考慮して検討しており、1フレームで全体水平力の約1/2を負担できるようにしている。
将来のメンテナンスが容易にできるように、仕上げ材とビス止めの野地板をとれば、Dボルトと引きボルトを取り外して、取替えが可能なように対応している。
軒先と屋根の中間部を合わせ天秤梁で釣り合わせて支えているところが構造上の特徴となっている。
また、屋根の勾配を変えるために2重屋根になっていて、天秤梁を加えると3重になる小屋組みが、トップライトの光をうけてデザイン的にも美しいものとなっている。