奈良県十津川村が「源泉100%掛け流し」宣言
2004.3.22読売新聞(夕刊)
奈良県十津川村は(2004年)4月に、村内の全温泉宿や公衆浴場で循環湯による湯の使い回しを一切せず、塩素殺菌もしない「源泉100%掛け流し」を宣言した。
紀伊半島中央の十津川村は泉質が異なる「湯泉地温泉」「十津川温泉」「上湯温泉」の三つの温泉が湧出。関西有数の温泉地だが、大阪から車で約3時間半かかるために(この時間では無理・・管理者注記)知名度は今ひとつ。宿泊者は減少の一途で、昨年度は約58,000人。

きっかけは一昨年7月に宮崎県内の入浴施設でレジオネラ菌感染の7人が死亡した事故。安全を求める声に、村は「ひなびた温泉だからこそ、できることもある」と松田忠徳・札幌国際大教授(温泉文化論)の協力で準備を進めた。
第三セクターの宿泊施設(ホテル昴のこと・・管理者注記)の循環装置を撤去。旅館なども改修し、村内20軒の旅館と民宿、公衆浴場5ヶ所がすべて「源泉かけ流し」を達成、準備が整った。
バブル期にも乱開発されなかったのが幸いし、湧出量が最も少ない上湯温泉で毎分120リットル85度。日本温泉協会も「湯量と施設数に無理がない」としている。村は新年度から3年かけて周辺も整備する方針。

温泉学会長の保田芳昭関西大教授の話
「宣言は全国の温泉地にインパクトを与えるはず。村の試みを温かく見守りたい」
十津川村は日本で一番大きな村で日本三大秘境の一つ。写真は谷瀬の吊橋
十津川村への国道168号線昔と比べて格段に整備されたが、それでも1.5車線の道路も残り神経を使う。
掛け流し」に切り替えたホテル昴
湯泉地(とうせんじ)温泉公衆浴場「滝の湯」