飼育初期の注意点
(ギリシャリクガメ編)


飼育スタイルは、人それぞれ自由なんですが、
あまり飼育本に書かれていない、絶対に守って欲しいことや、
「こうした方が良いだろう。」ということを飼育種類別にまとめておきます。
飼育初期の参考にしてください。
飼育のコツが掴めだしたら、あとは自分のスタイルを確立してくだされば良いと思います。
あくまで、うちで販売した子ガメに関して言えることで、
すべてのカメで共通して言えることではないので、注意してください。


まず最初に

◎常に監視が必要であることを認識しておいて下さい。

 生まれたばかりの子ガメは、甲長3.5センチほどでとても可愛らしいです。よちよち歩きの赤ちゃんと一緒です。非常に弱々しく、危なっかしいです。ひっくり返ると自分の力で起きあがることも出来ません。
 ですから、エサをやる時も、日向ぼっこする時も、オシッコやフンをする時も、片時も目を離すことは出来ません。それが物理的に出来ない場合は、ちょっと成長した個体から飼い始めることをおすすめします。

1.飼育スペースについて
 うちのHPで紹介しているカメの中では、一番成長速度は遅いですが、最終的には結構大きくなります。最終的な大きさを考慮して飼育スペースを確保できるかよく考えてから飼育を開始して下さい。他のカメとは違って、おっとりしているカメですが、凄い運動量です。庭に囲いを作って屋外飼育していると、囲いの縁を動き回って、そこからは草すら生えてきません。ゆっくりですがそれ程よく動き回りますし、そのズングリとした体型からは想像が出来ないような立体的な動きもします。
 もちろん、子ガメのうちから大きな入れ物で飼う必要はありません。むしろ、子ガメのうちはそれ程大きくない方が良いでしょう。ですが、成長に伴って飼育スペースも広げる必要がありますので、最終的な飼育スペースをイメージしておいて下さい。

2.ひっくり返ると起き上がれません!
 カメがひっくり返ると首を伸ばして起き上がるイメージが湧いてきますね。その思い浮かべたカメは何ガメですか?ギリシャリクガメは首を使って起き上がることが出来ません。
 先にも記述したように、結構立体的な動きをするのでよくひっくり返ります。ひっくり返った時は首を使うのではなくて後ろ足を使います。イメージできないかもしれませんが、後ろ足を伸ばして何らかの障害物に爪を引っかけ、引っ張るようにして身体を起こそうとします。ですので、大人のカメでも起きあがるのは非常に苦手です。爪を引っかけるところがないと自力で起きあがることは出来ません。子ガメになると更に顕著です。起きあがれずにずっとひっくり返ったままでいる個体もいます。長時間ひっくり返ったままだと死んでしまうこともあります。ですから、常に監視している必要があるのです。特に、夏場の太陽光での日向ぼっこ中は要注意です。真夏の直射日光下でひっくり返ってしまうと短時間で死に至る危険性があります。

3.置き水について
 エサや温浴などから水分を摂取できているなら特に常設する必要はないと思います。うちでは置いていませんが水分不足のトラブルを起こしたことはありません。

4.エサについて
 常に新鮮で豊富な量、種類の野草をメインに与えて下さい。カルシウム等の添加剤や栄養剤の添付は必要ありません。うちでは一切与えたことはありませんが順調に育っています。
 逆に子ガメにとって過剰なカルシウム摂取は尿結石を引き起こす原因になる可能性があります。薄くなった貝殻を砕いた物や卵の殻を砕いた物を飼育スペースにばらまいていますが、摂取しているところを見たことはありません。
 市販のリクガメ用の配合飼料が色々販売されていますが、それをメインにしてしまうと急成長して甲羅が変形したりボコボコ盛り上がったりする可能性があるようなので与えすぎには注意して下さい。うちでも何種類か試してみたのですが親も子も食べてくれなかったので、今は一切与えていません。野草メインで育てているせいか成長が遅いのですが、甲羅はとても綺麗に育ってくれています。病気等もしていません。
 与えている野草についてはHPで紹介していますので、 こちら も参考にして下さい。

5.日向ぼっこについて
 他のカメに比べて、非常に紫外線の要求量は多いと思われます。結構、長い時間日向ぼっこしています。早春や晩秋の太陽光下では長い間直射日光に当たっており、太陽の動きに合わせて移動したりもします。。ただ、真夏の直射日光には注意が必要です。真夏でも直射日光に当たっていますが、暑すぎると土に潜りますし、影に移動したりもします。ですので、真夏は必ず日陰の部分が出来るようにして、必ず監視下で行って下さい。
 クリアケースや鳥かごに入れての日光浴は不向きだと思います。かさの高めのプランターなどに土を入れ、害獣除けのフタを自作して行うのが理想的です。プランター本体の側面が壁になり、ある程度の陰の部分も確保できます。
 健康に育てるために、室内飼育で紫外線灯を設置している場合でも、時々太陽光での日光浴をさせてあげてください。

6.温浴について
 毎日する必要はありませんが、4,5日に一度は行ってください。手で触ってみて少し暖かく感じる温度で5〜10分くらい様子を見ながら行ってください。ゴクゴクと長い間水を飲む仕草がある場合は、明らかに水分不足ですので、エサの種類や鮮度を見直してください。普通は少し飲むくらいで、飲んでいる仕草さえ確認できないのが普通です。温浴後は身体が冷えないように水分を拭き取ってください。また、気候や実施時間に気を付けてください。温浴後、若しくは最中にフンや尿酸を排出することがあるので、水が汚れた場合は交換してあげてください。

7.尿酸について
 リクガメは他のカメと違って、フンや尿以外に尿酸を排出します。尿酸というのは、半液体(半個体)の白いドロドロした物体です。鳥の糞を思い浮かべてください。それの白い部分の事です。尿酸が正しく排出されないと結石を起こして詰まってしまう病気になるので、必ず定期的に排出しているか確認してください。温浴時によく排出します。水分が不足すると結石を起こしやすいらしいです。水分不足にならないように注意しましょう。

8.屋外飼育について
 屋内の飼育ケージで飼うのは難しいと思ってください。梅雨の長雨や台風など、一時的に屋内に避難する場合を除いて、基本的に屋外で飼育した方が楽です。ケージで飼う場合は、光の関係、床材の関係、スペースの関係などクリアしなければならない課題が多くあります。
 屋外で飼育する場合は、逃亡や害獣被害を完全に防げる手立てを講じてください。日当たりのよい庭の土の部分にブロックで囲いを作って、自家製のフタを設置するのがよいと思います。なお、2年未満の子ガメは体調を崩さないように、雨の日や夜間は屋内に入れておく事をおすすめします。

9.爪、クチバシの手入れについて
 ネットや本で、爪やクチバシが伸びすぎてとんでもない事になっているのを見かける事がありますが、地面をはい回ったり、掘ったり、葉っぱを囓ったりしていれば何の手入れもいりません。自然と削れて良いあんばいになります。逆にそれらの手入れをしなければならないという事は、飼育環境が適切ではないという事です。うちでは、親ガメも子ガメも一切手入れはしていません。
 (メスの種親は、購入時飼育環境が悪かったせいか、甲羅が歪み、爪は伸び放題でひん曲がっていました。購入後、歩きにくそうにしていたので爪を切ってあげました。それ以外、何もしていません。)

10.冬眠について
 基本的に、させてください。うちで生まれたギリシャリクガメはすべて冬眠可能な種類です。冬眠をさせて失敗するより、させないで失敗する確率の方が高いです。自然に任せて冬眠させるのではなく、冬眠箱を屋内に設置して人工的に冬眠させますので、まず失敗はありません。冬眠前と冬眠後のケアだけをしっかりやっておけば、ニホンイシガメやセマルハコガメに比べると一番楽で安心だと言えます。

11.ハンドリングについて
 考察でも述べていますが、どんどんふれあってください。つまむと嫌がりますが、手に乗せるくらいなら嫌がりません。ニホンイシガメと違って、手のひらに乗せてもほとんど動かずジッとしている事が多いです。とてもおとなしいカメだと言えます。手からエサやりすると、すごく慣れます。初めは怖がるかもしれませんが、少しずつふれあう時間を長くしていけば確実に慣れてくれると思います。触った後は、必ず手を綺麗に洗ってください。

 生まれたばかりの子ガメは、プランターがぴったり。土を入れて固めておきます。でも、ちゃんとしっかりしたフタは作って、簡単には外れないようにしておきましょう。小さいので、イタチにも持って行かれます。目の細かい亀甲網で自作すると良いでしょう。  良い感じで日陰と日向ができるので、子ガメ達は自由に行き来できます。お気に入りの場所は同じみたいで、密集状態になる事もしばしば。フンや食べ残しの葉は綺麗に取り除いていつも清潔にしておきます。たまには土の交換も必要です。
 2年以上経った個体は、庭の一角をブロックで区切って飼育できます。少々の雨が降っても放置で大丈夫です。身体にぴったりサイズの植木鉢を半分埋めてあげると好んでその中に頭を突っ込みます。
 ここにもしっかりしたフタは必要です。必ず設置しましょう。
 こっちもやっぱり密集隊形。春先の日光浴なんかは、光の位置にあわせて移動します。
 手に乗せてもあまり動き回りません。個体差はありますが、ニホンイシガメの子ガメとは明らかに違います。  ほぼ動かないので、撮影が楽。(^▽^v
 ひっくり返すとさすがに抵抗しますが、起きあがるのがへたくそです。  つぶらな瞳がとても可愛らしいです。同じ親から生まれても、甲羅の模様や色合い、頭の模様などが違います。とても面白いですね。







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