最近見たテレビ映画その2


Invasion of the Bee Girls

73年カラー。これも題名はばかばかしいのですが、それなりにまとまっている作品です。
アメリカの街で謎めいた殺人事件が次々と起こり、FBI の捜査官が死因を調べているうちに、背後にいる「蜂女」たちにたどり付いていくという展開です。蜂女が男たちを腹上死させていくシーンが連発するので、安っぽい映画のように思われがちですが、捜査はやや飛躍があるものの、まじめに進み、終盤に向かって盛り上がりをみせます。
蜂女誕生(?)の描写は、よくできていると思います。ED は「ツァラトストラはかく語りき」が使われています。「2001年宇宙の旅」の5年後です。

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Santa Claus Conquers the Martians

64年カラー。題名はばかばかしいですが、ちゃんとしたキッズ向き映画です。少年合唱団が歌う主題歌(ハレーホー・サンタクロース)も、子供向きでなかなかいい歌です。
話は、火星の子供たちが、(なぜか)地球のテレビを見て落ち着きがなくなったのに悩んだ最高議会が、子供たちに楽しみを与えるために地球におもむき、サンタクロースを誘拐しようとするという展開です。
ばかげたタイトル通り、ばかげた展開なんですが、子供向き映画としてよく出来ています。私的に、こういうの好きです。名子役の Pia Zadora が、火星人の子供役で出ています。

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The Last Woman on Earth

61年白黒。監督のロジャー・コーマンは、プロデューサーとしては偉大なのかもしれませんが、監督としてはどうなんでしょう。SF ものだと、「X The Man with X-Ray Eyes」が一番いいくらいじゃないんでしょうか。
大気中の酸素がなくなり、たまたまダイヴィングしていた男二人と女一人だけが生き残ったという話です。億万長者夫婦と若い男という取り合わせで、だれが考えてもうまくいくはずがない三人組です。前半は死に絶えた街の描写で、後半は当然生じる修羅場が続きます。
貞操という言葉とは無縁のような色っぽい奥さんを、若さにものを言わせて落とそうとするという展開ですが、さすがは億万長者。格闘になっても負けません。どちらかというと、若い男の頼りなさのほうばかりが目立ってしまい、むしろ奥さんは、その頼りなさに母性愛を感じたような感じです。
似たようなタイトルで、女性を主人公に持ってきた場合、たいていはキワモノなんですが、ヴィンセント・プライスの「The Last Man on Earth」よりは3年早いです。でも、中味は今一つでした。

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World Without End

56年シネスコカラー。名作が目白押しの56年映画の中では地味なほうでしょう。
同年の「Earth vs The Flying Saucers」でも主役を演じた、ヒュー・マーロウ主演。1957年に火星に向かったロケットが消息を絶ったと思ったら、タイムワープして26世紀の地球に舞い戻っていたという話です。
タイトルに反して、中盤は終末ものの雰囲気です。核戦争でミュータントと化し、原始的な生活を送るヒューマノイド、彼らを恐れ、地下で細々と暮す文明人。26世紀の女性は美人ばかりなのはなぜ?! 武器を捨て、平和に生きるというより、暴力を怖がる26世紀人と、20世紀からやってきた4人の宇宙飛行士との確執が当然のように起こります。セットも悪くなく、設定も面白いので、もう少し付け加えるものがあれば名作になったに違いないと思うのですが、クライマックスがちょっと弱かったと思います。

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Shock Waves

77年、主演は、この年の「スター・ウォーズ」にも出演したピーター・カッシングです。
忘れられたナチの秘密研究所に流された男女の話です。「Invasion of the Body Snatchers」 (1978)でも主演したブルック・アダムスが今回も色っぽいところを見せています。大ベテランのジョン・キャラダインにも注目でしょう。題名からは想像するのが難しいですが、ナチが作った不死身の水中ゾンビ兵士が襲ってきます。このゾンビたちの描写はけっこういい感じです。
ブルック・アダムスの回想という形を取っていますので、彼女以外は全滅するだろうことは想像がつきますし、死ぬ順番も意外性に欠けます。汚いかっこうしたカッシングが、なかなかナイスです。

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Five Million Years to Earth「火星人地球大襲撃」

67年カラー、ハマーフィルム制作。別題「QUATERMASS AND THE PIT」です。今度リメイクされるという噂があります。
ハマーフィルムの(純粋)ホラーでない映画としては、出来のいい物の一つでしょう。ホラーではないものの、所々で怖さを出すところは制作会社の伝統なんでしょうか。
日本題はおおげさな上に、ネタばれになってしまっています。ロンドンの地下鉄工事現場で発見された500万年前の猿人の遺跡の中で見つかった謎のロケット。第2次大戦中のドイツの爆弾ではないかと不発弾処理隊が出動しますが、実は500万年前に火星から侵略してきた昆虫人だったという話です。
ハマーフィルムでおなじみの化け物女優バーバラ・シェリーが研究助手として活躍します。途中がゆっくりしてなかなか話が進まない割に、最後はどんどんどんと急展開して、ちょっとバランスが悪いかも。

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The Brain from Planet Arous

57年白黒。アロース星から来た宇宙人が原子核物理学者(?)を乗っ取って、世界征服をたくらむ話です。
B 級 SF 映画に何本か出ている John Agar が、またもマッド(にさせられた)科学者の役で出ています。世界制服を阻止するためにアロース星から来た善良な宇宙人は、犬にとりついて対抗するのでちょっと分が悪いです。宇宙人のデザインは、まあこんなものでしょう。
低予算ですが、核爆発のシーンは迫力のあるものを作っています。

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Donovans Brain「死んだ男の脳」

53年白黒。もともと「生きている脳」ものの古典として知られていたのですが、運命のいたずらでレーガン大統領夫人が出ている映画として有名になってしまいました。そんなこととは無関係に名作です。
脳もの映画はばかげたものが多いと言われますが、マッド・サイエンティストものというよりも、むしろ「ジキルとハイド」物という形になっており、リアリティがある程度保たれています。「ジキルとハイド」ということで、キーマンになる主人公のコリー博士を、ロウ・アイレスが好演しています。終わりがいくぶん唐突な感じがします。

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猿の惑星・5部作

有名なものは、見ても感想を書くことがないのではずしているんですが、まとめてこのシリーズを見直してみると、いろいろ思うことがあります。
シリーズを通して、最初の作品が作り上げたイメージが占める部分が大きいですが、3作目(Escape)が時間パラドックスものとして、シリーズに深みを与えたと思います。4作目は、3作目を作った勢いで作った感じで、5作目になるとシリーズに疲弊を感じてしまいます。5作目と1作目の間に何が起こったか、今になると気になりますね。
1,3作でコーネリアスを、4,5作でシーザーを演じたロディ・マクドウォール、2作目にも出ておれば、と思います(声だけの出演)。結果的には、テイラー宇宙飛行士を演じたチャールトン・ヘストンよりも、マクドウォールの方が「猿の惑星」を代表する役者になりました。
第1作で、英語が通用するところを不思議と思わないテイラー、第3作でコーネリアスとズィラを強引に訊問して子供を殺そうとすることろなど、アメリカらしいと思ってしまいます。

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Batman (1966)「バットマン」

テレビシリーズのバットマンの映画化。主役のバットマンはアダム・ウエストです。
同時代の日本の東映作品とも共通する、かっこいい主役のいかにも真面目な演技、まぬけな悪役たちがめざすギャグな世界征服のアンバランスがなんとも素敵です。
おなじみの「バットマンのテーマ」は、007 のテーマなどと同様、永遠ですね。衣装なども当時の流行を反映しているものなのに、現代にも通用してしまうのが名作のゆえんでしょうか。
半ズボンの似合うロビン、しっかりしているようで、まだまだ純情な少年か? 緯度0のシーザー・ロメロが敵役で出ています。

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American Werewolf in London「狼男アメリカン」

81年。昔の「Werewolf in London」と関係はないようです。まあまあ有名でしょう。
80年ごろというと、リアルでスプラッターな映画がはやった頃ですが、この作品はホラーとコメディの融合を目指した映画です。個人的に、スプラッターは好きじゃないんです。
ゴシック・ホラーを現代ものとして作るのは難しいのですが、場所をホラーの本場ロンドンにすえて、そこに狼に噛まれたアメリカ人を主役に据えたのが成功の一因でしょう。現代のニューヨークでは、狼男が暴れる場所が難しいです。また、テーマを、狼男じたいの恐怖よりも、狼男に変身してしまうことになるアメリカ人の内面の恐怖に重きを置いたので、現代に通用する作品になりました。狼男じたいのデザインもまずまずのでき映えで、狼男ものとしてもきっちり作られていると思います。

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Carnival of Souls

62年白黒。ゾンビ物の古典というより、ホラー映画が新しい方向に向かい始めた頃の「不条理の恐怖」を描いた作品でしょう。
女性3人が乗った自動車が川に落ち、一人だけ何もなかったかのように岸にたどりつきます。教会のオルガニストだった彼女は、自分の住んでいた町を離れ、別の町の教会で仕事をはじますが、彼女の周りには不可思議な現象が相次ぎます。
80分くらいの短い映画で、それほど予算をかけたわけではないと思われますが、なんともいえない怖さをもった映画です(映像自体は怖くない)。生ける死者たちが出てきて、後のゾンビ映画に影響を与えたようですが、同時代の「サイコ」などと同様の、モダン・ホラーの走りと捉えたい作品です。

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The Thing With Two Heads

74年。X The Man with X-Ray Eyes の、レイ・ミランド主演(監督もやっていたかもしれないけど、忘れました)。
死期を迎えた医者(レイ・ミランド)が命を延ばすために、別の男(死刑囚)の体に自分の首をのせる話です。首が新しい体に馴染んだところで、元の首を切り落とせば、自分だけは延命に成功するという、鬼畜な手術です。自分の体にもう一つの首をつけられた死刑囚が、若い医者を人質にして脱走。二人というか、三人の逃走劇が延々と続きます。撮影は「二人羽織」状態なので、当人はたいへんだったんじゃないかなあと思ってしまいます。手術の途中は、少しだけレイ・ミランドが首だけの状態になりますが、自然な映像で丁寧に作ってあると思います。
最初はそれなりにホラー映画のようなシリアスな雰囲気だったのに、逃走が続くうちに、だんだんギャグ映画になってしまいました。逃走劇が長すぎて、バランスを壊してしまったように思いますが、ギャグと思えば楽しい。音楽もポップで、最後もからっと仕上げています。

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D.A.R.Y.L「ダリル」

85年。養子にした少年が、実はアメリカ軍の秘密ロボットだったという話です。
少年ダリルが、なんとも可愛いこどもです。普通の子供よりも子供らしいというか、スポーツも、(当時家庭に入ってきた)テレビゲームも、勉強もでき、正直で素直です。逆にいえば、子供として出来すぎて怖いのですが、そこはダリルの可愛さで持っています。
登場するコンピュータは、今日的には古さは否めないですが、それほど変な感じがしません。画面の中のグラフィックのセンスがいいのだと思います。「E.T.」の影響なのか、全体にファミリー向けのつくりです。特撮的にすごい映像があるわけでもないですが、親が見ても楽しめる作品です。

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Y2K

99年11月22日に、ABC 系で放映された2時間物のテレビドラマ。
Y2K を迎えて、さまざまなアクシデントを解決する特別チームの話です。冒頭に「これはドラマであるが〜」と紹介されました。
ハッピー・ニュー・イヤーに沸くアメリカ。しかし、Y2K とともに停電が起こり、暗闇の中着陸する飛行機、そして、制御不能になった原子力施設。東部と西部とで3時間の時差があるため、さまざまな事件が連続して起こります。原子力施設の事故のところなど、素人目にもちょっと違うんじゃないかなあと思うところもありましたが、ある程度のリアリティは感じられました。
不満が残ったのは、先に Y2K を迎えたはずの、日本やヨーロッパの様子が出てこなかったことです。Y2K で事件が起こったのは、アメリカだけだったのでしょうか?!

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Hilander「ハイランダー 悪魔の戦士」

86年。ショーン・コネリーが特別出演していることで有名(って、コネリーがでるとそればっかり)。
ハイランダー3部作の第1作。主役のクリストファー・ランバートも悪くないと思うのですが、スペインな衣装を着たコネリーに食われてしまった感があります。ヒロインに今一つ魅力を感じませんでした。最近のものですから、感想はこの程度です。

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Earth vs The Flying Saucers「空飛ぶ円盤地球を襲撃す」

56年白黒。56年は SF 映画の名作が多い年だと思います。
邦題のセンスの悪さはともかく、円盤ものの古典です。日本の特撮映画、特に「地球防衛軍」や「怪獣大戦争」などにも大きな影響を与えたと思われます。
空飛ぶ円盤が地球に飛来してきて、前半の展開は「The Day the Earth Stood Still」の影響を受けたような感じです。円盤をこれもハリーハウゼンが描いていますが、序盤など、ここまでストップアニメーションにしなくてもという気がしないでもないです。後半の円盤群の動きは、実に見事です。

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Mysterious Island「SF/巨大生物の島」

61年カラー。何度か日本でテレビ放映を見たことがあります。ジュール・ベルヌの原作を元にした、ニモ船長サーガの一つです。
南北戦争のさなか、気球で脱走した捕虜たちが謎の孤島に流れ付くという、ロスト・ワールド的な導入です。島にたどり付くまで、展開がゆったりしすぎるような感じです。難破してきた女性二人(シャレのつもりはないのですが)が途中に加わり、途中はロビンソン・クルーソー的な展開になります。孤島の様子が丁寧に描かれており、ニモ船長をからめて、話をうまくまとめています。
特撮部分は少ないながら、ハリーハウゼンのストップアニメーションは見事です。音楽もおなじみのバーナード・ハーマンで、全体に高い水準の作品になっています。

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Phantom Creeps

ドラキュラ伯爵でおなじみベラ・ルゴシ主演の白黒映画。
ベラ・ルゴシが、マッド・サイエンティストとなって、ロボットや透明人間になるベルトや、さまざまな殺人兵器を開発します。人間より少し大きい程度の醜い顔のこのロボット、映画史上でもかなり初期のロボットでしょう。透明人間の描写はありきたりです。ベラ・ルゴシの科学者は、最初、髭をはやして登場しますので、全く別の人かと思いました。
次々とマッドなアイテムが登場しつつ、話が進みますので、話はあきません。事故を装って、死んだことにするベラ・ルゴシ、ルゴシが引き起こす事件を調べる警察、ルゴシの発明品を奪おうとする産業スパイ(?)など、人が入り乱れていきます。
30年代ということで、登場する飛行機も時代の先端だったろうと思います。何気なく、ヒンデンブルグの最後の映像が挿入されていたりします。全体にまとまりが悪い感じですが、さすがの悪者振りを見せるルゴシが魅力あります。

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Atomic Age Vimpire

61年、白黒。タイトルは「バイパイア」となっていますし、オープニングもそれっぽい雰囲気になっていますが、実際は「Dr. Jekyll and Mr. Hyde」の流れをくむ、マッド・サイエンティストものです。
広島に行って被爆の実態を見た科学者が、いかなる怪我も元通りにできる、細胞の活性化(?)薬の開発に成功します。科学者の側には、美女の助手と言語障害のある庭師と、型どおりのメンバーがそろっています。一方で、恋人だった船乗りに振られ、さらには交通事故で顔に大やけどをおった美女が、科学者の元に助けに求めに行き、整形に成功します。
科学者と助手、整形に成功した女性の間の三角関係の中、しだいに科学者の心に邪心が芽生えていくという展開で、話は型どおりに進みます。
バイパイアって、いたかなあ?という感じですが、造形などは平均的です。顔の火傷の跡など、見せすぎると作り物とわかってしまいますので、普段は顔の火傷を隠すように撮ってあるのは、いいアイデアだと思いました。こういう話では、科学者のマッド振りと、さらわれ役の美女の魅力が欲しいところで、残念ながらどちらも今一つでした。事件を追う刑事グループにも追い詰める迫力と推理が乏しいです。大きな魅力はないものの、突っ込みたくなるような粗もなく、全体に平均点の映画でした。最近のアメリカでは、「悲惨過ぎる」という理由で展示されない、被爆者の写真が何枚か紹介されているところを買いたいです。

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The Boogie Man Will Get You

年代はわかりませんが、ボリス・カーロフ主演の白黒。
ミスター・フランケンシュタイン(「Bride of Frankenshtein」などでモンスター役)のボリス・カーロフ主演ということで、ホラー物か?と思いきや、どたばたコメディでした。
若い女性が、地下の研究室で老教授がマッドな研究をしているペンションを安値で買います。この古いペンションがゴースト・ハウスということでもなく、おかしな客やへんなセールスマン、さらには脱獄囚が訪れ、人殺しが起こったのか、ただのフェイクなのかわからないまま、警察も巻きこんでどたばた話が進みます。
実は、ボリス・カーロフの生の顔を知らないので、どれがそうなのかわかりませんでした・・・ 何か変な映画を見たなあというのが率直な感想です。

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The Man From Planet X「惑星Xから来た男」

51年、白黒。宇宙人の侵略ものとして初期のものです。
惑星Xが地球に大接近する中、地球に降り立った謎の宇宙船と宇宙人を、イギリスの片田舎に住む天文学者(?)とその美人の娘(パタンですね)のもとに訪れた新聞記者の目から描いています。この天文学者に協力する、食わせ者の博士が型どおりに宇宙人を利用しようとします。この宇宙人のデザインは、同年のほかの作品、「The Day the Earth Stood Still」「The Thing」と比べても、秀でていると言い難いです。宇宙服の設計にも問題があって、宇宙人の動きは鈍く、とても侵略に成功しそうもありません。
惑星Xが地球に接近するということで、これも同年の「When Worlds Collide」と比べると、惑星接近にともなう異変についての、科学的な考証は全くといってなされていません。
低予算映画で、特撮的にはクライマックスを含めて見るべきところは少ないです。ある程度型どおりに話は進んでいます。衝突物と侵略物と二つの要素を入れて、両方とも物足らないストーリーになってしまったようです。

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Most Dangerous Man Alives

50年代の白黒映画ですが、細かいことがわかりません。子分に裏切られたギャングの元ボス(?)が、核実験の結果、鋼鉄の体になってしまったという話です。
特撮的な映像はほとんどなく、この元ボスの復讐の物語になります。拳銃に撃たれても死なない彼ですが、しだいに性格が残忍になっていくという、いつものパタンをたどります。昔の愛人の助けを借りながら、乗っ取った子分を追い詰めていきますが、この子分がなかなかしぶといです。また、この突然変異を研究しようとする大学教授、事情がわかってきても殺人犯「Most Dangerous Man」として彼を追い詰める警察と、「怪人もの」お約束のメンバーもそろっています。
東宝の怪人シリーズ「ガス液体電送」というより、SF のアイデアを借りてきただけの、東映的なアクションに重きを置いた作品です。

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Chinpokomon (South Park:TV)

アメリカで、ポケモンの映画が公開されたのに合わせて作られたのか、人気(18禁)テレビアニメのサウス・パークに、「Chinpokomon」が登場! 以下は、あらすじです(超ねたばれ)。

サウス・パークのいつものメンバーが、今回は Chinpokomon に熱中。CM には日本人の女性が実写で登場して、「Chinpokomon」を連呼(CM 自体は字幕なしの日本語でした、制作サイドはわかってやっています)。Chinpokomon カンパニーの社長の名前は「Hirohito」で、実はおもちゃを利用して、アメリカ攻撃を画策してます。ゲームの Chinpokomon の内容は「トライ・パールハーバー」で、実はパールハーバー攻撃のシュミレーションゲーム。「おしゃべりピカチュウもどき」が政府攻撃のプロパガンダを流すのに気がついた、アメリカの Chinpokomon カンパニー代表が日本に行きますが、芸者ガールと「日本は小さい、アメリカは大きな国、そこでビジネスをしたい」という Hirohito に説得されてしまいます。この Hirohito 、日本訛りの英語をしゃべる上、時折日本語もしゃべってます(このときも、字幕はないです)。
Hirohito は、子供たちを集めて、Chinpokomon キャンプで洗脳。ハチマキ姿のアニキが前で体操を始めるところ、ジャパニーズです。子供たちは日本語をしゃべり始め(テーコクとか)、Chinpokomon に毒されるのを憂いた PTA たちは、Chinpokomon を禁止しようと集まりますが、その前にも Hirohito が現れて、同様の論理で説得。ビル・クリントン(に似た顔の大統領)までだまされてしまいます。この Hirohito 、いかにもなジャパニーズビジネスマンです。PTA では、替りの玩具を与えようと新おもちゃを用意しますが、アラバママンとか、ださいおもちゃ(実写の CM を2本ちゃんと作っていました)は黙殺されます。
ついに、子供たちを使って、アメリカ攻撃に出る Hirohito。ここで、PTA が最後の勝負。自分たちと Chinpokomon で遊ぼうと子供たちに声をかけると、そこは子供たちの悲しい性。親が面白いと思うものには興味を失ってしまい、ついに、Hirohito の野望は失敗に終わります。無念、またも日本はアメリカに敗れたか!
ポケモンブームをついた、なかなかブラックな快作でした。日本以上にポケモンに狂ったアメリカの子供たち。将来この中から大統領が出る頃には、ジャパン・バッシングもなくなることでしょう。がんばれ、日本の官僚! その日まで、なんとか問題を先伸ばしに伸ばすのだ!!(ポケモンを、親に買ってもらえなかった子供が大統領になったら、ジャパン・大バッシング?)

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Gorath「妖星ゴラス」

東宝特撮映画の中でも、SF 性の高さでは最高クラス。配役も輸出を意識したものだけに、アメリカでは人気が高いようです。個人的には、かけた予算対効果の比がつりあってない感じがしています。
はやぶさ号がゴラスに乗りこまれるときのバンザイや、2回あるはずの「俺ら宇宙のパイロット」は、ともにカットされていました。また、日本語の新聞が出るシーンもありません。池部良、久保明(タツ)や佐原健二の声はイメージに近いですが、おおとり号(イーグル)艇長・平田昭彦の声は別の意味でかっこよくなって、少し違う感じです。天本英世や沢村いき雄の声は、本人でないと出せないでしょう。二瓶は、ちょっと頭が足らないような感じの声でした。
怪獣マグマのシーンは、大幅にカットされて何が何やらわかりませんでした。数ある衝突物映画の中で、地球を動かしたのはこれくらいなんでしょうか? 「When Worlds Collide」の影響を受けていますが、あの映画で描けなかった部分に挑戦しています。時代が10年以上違うということもあるでしょう。

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Alianator

タイトルを見ると「Alian」+「Terminator」か?!と思ってしまいますが、Terminator が女 Alian だったという話です。
80年代を代表する「B 級」SF 映画監督 Fred Olen Ray による、89年の映画です。女ターミネーターという段階でキワモノと思われてしまいそうですが、やっぱりキワモノでした。女ターミネーターを、マッチョ系でなくてセクシー系にしたほうが面白かったかも。他の映画から、いろいろなデザインを取りこんでいます。制限された制作費をうまく配分して、わずかな特撮映像や豪華なセットを少しだけ見せることで、十分な効果を上げる技術には長けているようです。

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Meteor「メテオ」

これまた、ショーン・コネリーが主演なことで有名な、衝突物の災害映画。「Zardoz」 に比べると、こちらのほうが大作でしょう。有名作なので、あまり述べることはないです。
「アルマゲドン」では放棄された、核ミサイルで小惑星を爆破するというパタンです。NASA の協力があったと思われ、小惑星などの描写など、部分的には美しいデザインを楽しむことができます。大統領にヘンリー・フォンダを起用するなど、役者も惜しまず使っています。でも、部分的にはいいけど全体としてまとまりきれていない、大作が陥りがちなパタンにはまってしまったようです。

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The Wild Wild World of Batwoman

66年ながら白黒。テレビの「バットマン」と内容的には関係ないようです。
これまた題名からして、いかにもなキワモノです。題名は「Wild Wild West」をもじったのでしょうか? バットガールを多数引き連れたバットウーマンが、悪?のマッドサイエンティストと戦うという、ほどのことはなく、ギャグになっています。
悪者側は、マッドサイエンティストとその助手のせむし男(「フランケンシュタイン」でもおなじみのパタンですね、今は放送禁止用語)、ギャグを担当する使い走り二名に、謎の覆面ボスと、一通りそろっています。対するバットウーマンは、コスチュームを着替えることすらなく、ずっと「女王様」的な衣装で通します。その上、この世界ではバットウーマンの存在は秘密でもなんでもないようです。バットガールにいたっては、60年代のポップカルチャーそのままで、大胆な衣装で最初から最後までゴーゴーを踊りまくるだけ、ただのさらわれ役以上のものではありません。
小型の核爆弾(探知機を兼ねるのかな、よくわからなかったです)の奪回に挑むバットガール軍団のナイス・ボディを鑑賞するのが、この映画の正しい見方でしょう。しょうもない中に、たま〜に切れ味のいいシーンがあります。ここまでやればカルト映画?

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Devil Girl from Mars

54年白黒、イギリス。久しぶりの50年代 B 級 SF 映画です。
題名からして、いかにもなキワモノ映画です。タイトル通り、火星からスコットランドにやってきた美女が、生殖のために男をつれて帰ろうとするという話です。イギリス映画の場合、「世界征服はスコットランドから」なのでしょうか?
「Devil Girl」が、なかなか悪魔的な雰囲気を漂わせています。対する人間側は、スコットランドの小さな宿屋の主人一家、メイドさんと彼女の恋人の殺人犯、道に迷った科学者と付き添いの新聞記者(?)と訳ありのメンバーが迎え撃つ、というより振り回されます。軍隊なども登場せず、宿屋の近辺だけで話が終始します。次元をも操る彼女を倒すことなど、このメンバーでは不可能に思えます。円盤の造形や着陸シーンはまずまずですが、平凡です。火星人は「Devil Girl」一人と、箱型の護衛ロボットだけです。このスタイルは、「The Day the Earth Stood Still」の影響でしょう。ロボットの造形もありきたりです。
円盤が登場してから、中盤はある程度緊張感をもって話が進みますが、最後はやや物足らない終わり方でした。低予算の映画としては、そこそこ成功した作品でしょう。

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Twilight Zone

ロッド・サーリングが亡くなった後、90年代になって、残されたシナリオを元に作ったテレビドラマ。30分ほどの「The Theater」と1時間を越す「Where is death?」(サブタイトルはあいまいです)の2本です。
前者は、映画館で自分の過去の現実をスクリーンの上で見るようになった女性の話です。ボーイフレンドに相談しても、デジャブーだろうと取り合ってもらえず、何度か足を運ぶうちに過去だけでなく未来をスクリーンで見るようになります。ロッド・サーリングのナレーションこそないものの、いかにもミステリー・ゾーンという世界を切り取っており、没になったのが不思議な感じです。
後者は19世紀(?)のボストンで、外科手術を行った失敗した医者が、患者を調べてみると数年前に死んでいたことがわかるというのが話の発端です。原因を探るために旅に出て、不死の手術を施していた高齢の医師とその娘に出会うという筋です。こっちは、「Twilight Zone」とは、ちょっと雰囲気が異なるサスペンスドラマという感じです。「Twilight Zone」は、30分のものの方が、私は好きだからかもしれません。英語力の問題で、内容がもう一つつかめなかったこともあります。
スピルバーグの映画でも、「Twilight Zone」らしい話とそうでないのとあります。でも、それはそれでいいのでしょう。「Twilight Zone」を見て、別の「不思議な話」を作っていけばいいと思います。今なお「Twilight Zone」がアメリカで愛されて、いろいろなドラマのオリジンになっているのだろうと思います。

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The Night That Panicked in America/The War of the Worlds「宇宙戦争」

36年に、ウェルズの「宇宙戦争」をラジオ放送したときの混乱をテレビドラマにした作品(75年)と、「宇宙戦争」を映画にした53年の名作を続けて見ました。
よく知られるように、「宇宙戦争」をラジオ放送したとき、本当の話と勘違いして多くの人がパニックに陥りました。この様子を、火星人と戦おうとする第1次大戦の戦士(勇士ではないなあ)、子供を連れて逃げ出す夫婦、恋人の元に駆けつける男、自宅でパーティを楽しんでいる金持ち(執事はドラマと知っている)など、いくつかの家族をサンプルにしながら描いています。
一方で、放送風景を丁寧に描いているのも、当時の様子がわかっておもしろいです。10人余りの楽団が生演奏し、数人のアナウンサーが何役も兼ねながら生で原稿を読み、音響が生で特殊音を作り出すなど、生放送の緊迫感が伝わってきます。
放送が行われたのが、ハロウインの夜だったということで、この番組もハロウインの定番のようです。ナチスの軍靴が間近であったことも、さりげなく取り上げられています。
映画「The War of the Worlds」は、ウェルズの原作よりこのラジオ放送版を下敷きにした感じです。ラジオでは、ニュージャージーに降りた火星人がニューヨークに迫るという内容ですが、映画では舞台をカリフォルニアに移しています。

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It's the Great Pumpkin, Charlie Brown

66年に作られた、チャーリーブラウンのアニメ。ハロウインの定番です。
かぼちゃ大王がかぼちゃ畑から飛び出してきて、子供たちにプレゼントを与えてくれると信じているライナスを中心に、ハロウインの夜を描いています。その中に、ルーシーがホールドしたフットボールを蹴りにいってボールをはずされるチャーリーブラウン、レッドバロンと戦うスヌーピーなど、コミックでおなじみのシーンも入っています。全体に、コミックに忠実な作りになっています。
日本語版だと、チャーリーブラウン/なべおさみ、ルーシー/うつみ宮土里、ライナス/野沢那智という配役が、ちょっと大人びたピーナッツを聞かせてくれますが、オリジナルはもう少し子供らしい感じです。絵は原作に忠実で、色合いも美しく、30年以上前のアニメとしては素晴らしい絵で、古さを感じません。これからも、ハロウインの夜には毎年放映されるアニメでしょう。

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The Haunting

99年にリメイクされた、「ホーンティング」のオリジナル版。白黒。
リメイクのほうを先に見てしまったので、比較してみてしまいます。登場人物は、だいたい同じで、顔つきや性格も結構似ています。当然ながら、昔のにはこれといった特殊映像はありません。その分、ヒロインの心理描写を丁寧に描いています。
おそらく、リメイク版を作るときには、旧作で説明不足なところを補おうとしたのだろうと思います。オリジナルでは、ヘル・ハウスの由来は最初に説明されていて、中心はヒロインの心の動きでしたが、リメイクではハウスの由来を謎解きしていく過程が中心です。リメイクでの「説明」は、旧作を踏まえてみると成功したと思うのですが、説明過多で結末をつけすぎたような気がします。ホラー物は、どこか説明できない部分が残ったほうが恐いと思います。
主役の教授が、オリジナルでは超現象の研究者です。このほうが自然だと思いますし、リメイクでのリアム・ニーソンが、話が進むにつれて次第に存在感が無くなってきたことを思うと、最後まで中心人物らしく動きました。リメイクがオリジナルを越えるのは難しいです。

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The Brain That Wouldn't Die

63年ながら白黒。そのせいか、50年代的な雰囲気があります。
才気あふれる外科医が自動車事故を起こしてしまい、同乗していたフィアンセは首だけになってしまいます。この彼女のために、外科医が美しい女性の体を探すという話です。
生体移植も可能と主張する主人公と保守的な院長先生(?)の対立は最初だけで、主人公が彼女の首だけを生かす事に成功すると、壊疽した左腕を直せると思って協力に回ります。外科医がナイス・ボディの女性を探すシーンには、決まってムーディな音楽が流れるのが楽しい。
過去の失敗作なのか、部屋に閉じ込められたモンスターがキーの役割をします。モンスターが暴れ出すシーンは、なんかギャグです。この時代で白黒しか作れなかったことからも、低予算で作り上げたのかなあと思います。50年代に作られたのならある程度評価されたでしょう。顔だけになった女性の演技が楽しく、まあまあ楽しめます。

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