さて、チャーターした船を降りる。

朝飯も、結構食っているし、甘いものも食っているから、さほど腹は減っていない。

「さて、次だ!」

あいつは、地図を頼りにずんずん先へ立って歩いていく。

海、洪水・・・・そんなモノを扱った「あとらくしょん」がたくさんある。

上演時間を見ながら、嵐の航海を疑似体験できるところもあれば、
大洪水を体験できる場所もある。

どこへ行って、何を見ても楽しくて仕方がない。

こいつと二人で、こんなに気兼ねなく、こんなに楽しい時間が過ごせるなんて、
全く思いもしなかった。

楽しい時間は、本当に早く過ぎていく。
歩き回って、大体、このハウステンボスのどこになにがあるか分かってきた。

そうこうしている間に、だんだん腹も減ってきた。

「昼に食うモノは決めてるんだ」と言って、あいつはずんずん歩いていく。

「チーズフォンデュだ」「ちーず・・・・なんだって?」

「チーズ、フォンデュ。チーズを溶かして、それを野菜だの、パンだのにつけて食う料理だ」

あいつはそう言って、チーズを扱う専門の店の二階に上がっていった。

鍋にぐらぐら煮え立つチーズが入っている。
それに、パン、エビ、・・・と色々の食い物をtけて食うらしい。

「なんだ、簡単な料理だな」そう言って俺はまず、パンをつけて食ってみる。

「お、けっこう、美味エな」と言うと、あいつは嬉しそうに
「だろ。チーズと野菜さえあればお前でも出来る料理だ」と言った。

「ま、お前がケガだの病気だので寝込んだ時、作ってやるよ」
「ケガだの病気だので弱ってる時に、こんなコッテリしたモン、食いたくねえよ」などと
言いながら、粘土遊びをしているような、楽しいメシだった。




さて、いよいよ次回、最終回