ゾロサン風味ハウステンボス旅行記

キャスト・・・・・ゾロ
         サンジ

電車は行けども、行けども山の中を進んでいた。

はじめての場所だから、どのくらいの時間で着くか、おおよそは知っていても、
どんな風景が目の前に広がるのかなど、予想も出来ない。

ハウステンボス駅が近づいてきた。
山の中ばかりで風景は確かに綺麗だったが、単調な風景で、
少々、見飽きていた頃だ。

せっかく、二人きりの旅行だ。
あくびなんかしたら、きっと、怒るだろう、と俺は必死にあくびを噛み殺していた。
「お!見えてきたぜ」

そう言って、あいつは電車の外を指差した。

山の裾が切れた、と思った。
途端、川が見える。その川の向こうに、大きな塔がそびえたっていた。

「おお!なんだ、おい、急に外国に飛ばされたみてえだな!」

異国文化の匂いがする風景が、いきなり目の前に広がって、俺は妙にテンションが上がる。

ホテルに着いて、部屋に入る。
部屋は10階、眼下には、別荘地が広がり、小さな島国の田舎町とは到底思えない光景だ。

そして、慌しく、ハウステンボスへ向かう。

園内は花が咲き乱れていて、そして、夕暮れの潮風が心地よい。

人もまばらな園内を特に慌てる事もなく、のんびりと歩く。

とりあえず、メシを食う場所を探した。

「何を食う?」
「おう・・・とりあえず、パスタでも食うか」って事になり、そんな感じの店に入った。

「・・・ふぇとちーねおりじなーと?なんだ、こりゃ」
メニューには、よく分からない名前が書いてある。
「じゃ、俺はそれにする。お前は、今月のお進めパスタでも食ってろ」
と、安易にメシを決めた。

俺のは、魚介類がたっぷり入ったあっさり目のやつ。
あいつのは・・・・

「チーズとバターだけの味付けだが、美味い」と言うので、俺もそれを食べてみる。

(・・・・美味エけど・・・ふぇとちーねってのは、ゆがきすぎたきしめんだな)と思った。

食い終わって、一息ついていると、外で花火が上がる音がしてきた。

慌てて、外へ飛び出し、俺達は、花火が見える場所へと走る。

水上に設置された台の上から、花火が次々と打ちあがっていく。
人が少ないから、花火が打ちあがっていく様子が目の前だ。

星がきらめく空に、花火が咲く。
その光が、運河の海に映っている。
音楽と、光の筋、そして、花火の閃光。

やっぱり、こういう風景は、一番好きなやつとみるのがいい。



それから、園内をぶらぶらすると、

「おい、1500ベリーでフラメンコが見れるってよ」

そう言って、あいつが一軒のバー?らしい建物の前で立ち止まった。

時間を見たら、結構掛かる。だが、1500ベリーで飲み物が一杯飲めて、
プロの踊り子の踊りが見れるってのは、随分安いらしい。

あいつが見たい、と言うなら、俺も見てみたい気になってきた。

はじめてみる、本物のその踊りは、圧巻だった。
どうやって、あんなに力強く足を打ち鳴らす事が出来るのか、
それが不思議でならない。

男の癖に、なんて色気たっぷりに踊るんだろう、と正直、驚く。
もしも、このフロアでこいつが踊ったら、どんなんだろう、とふと想像してみた。



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