第3話(蠢く木の根)
その植物がある森はうっそうとしていた。
「どれがその<化け物>なんだあ?」
森につくなり、サンジがそう言った。
確かにこの森の中でその植物の姿形さえわからないのに、分かる筈なさそうだ。
しかし、以外と簡単にそれは見つかった。
適当に森に入った二人だったが、普通木の根が土に這う時は
茶色の幹と同じ色の根が出ているはずなのに、ふとその森の地面をよく見てみると、
ゾロの腕よりも太い、
毒々しいまでに緑色の根というよりも蔦のように見えるそれが違和感に満ちて
地面を這っている。
しかも、時々それがびくり、びくりと動いている。
「あれじゃねえのか。」ゾロがそれを指差した。
「ウエー、動いてるぜ。」サンジが無防備にそれに触れた。
とたん、サンジが触れた場所が脈打つような動きを見せた。
「うえッ気色悪い!!てめえのチンコにそっくりだ!!」
「なんだと!!」サンジの失言に呆れながら怒鳴る。
「お前は、いつもそんな風に思ってたのか、気色悪いって!!」
「何怒ってんだ、馬鹿じゃねえのか、誰もそんな事言ってねえだろ!!」
「言っただろ、気色悪いって!!」
「動くのがそっくりだって意味だ、馬鹿!!」
「お前のだって、一緒だろうが!!」
「そんな恥ずかしい事、大声で怒鳴るんじゃねー!!馬鹿エロ剣士!!」
サンジはゾロの首目掛けて蹴りを入れてきた。
それを腕で受け止める。
「お前のチンコも一緒だって事、改めて教えてやる!!」
ゾロがそう凄むと、サンジの顔が赤くなった。
「もう、許さん!!今日こそはコロす!!」
そう叫ぶと本気でゾロの腹にむけて、蹴りこんで来た。
が、凹凸のある地面のせいで軸足のバランスが微妙にずれて、いつもよりも
スピードが出なかった。
それでも通常の人間なら鳩尾に食らってしまえば即失神するだろう
威力を持ったその蹴りをゾロは両手で受け止めた。
と思った瞬間、サンジの頭がゾロの視界いっぱいに飛びこんできた。
額に激しい衝撃を感じ、目の前にちかちかと星が飛ぶ。
思わず、受け止めたサンジの足を離して、額を押さえた。
「いててて・・・・」しかし、大したダメージではない。
「この石頭がああああ!!!!」
サンジは自分が攻撃してきたくせに額を押さえてのた打ち回った。
「ばーか、そんな攻撃が効くとでも思ったか。」
地面を転がりまわってるサンジの体を押さえつける。
「止めろ、このエロハゲ!!」
押さえた額が割れ 血が流れて、サンジの顔を汚していた。
「馬鹿か、お前!!こんなになってるじゃねえか!!」
ゾロは慌ててその手を掴んで傷の様子を見る。
「てめえの頭が固すぎるんだよ!!」サンジがいきり立って言い返す。
ゾロは太陽の色の髪をかきあげ、顔を汚すサンジの血をなめた。
「・・・・っ!!」思わずサンジは目を閉じる。
少し切れただけで大した傷ではないのを確認し、どさくさ紛れに唇を
サンジのそれに押し付けた。
「っ」文句を言うためなのか、サンジの口が少し開いたところへ
すかさずゾロは舌をさしこんで、サンジの舌を捕まえる。
口を閉じさせないように、ゾロはサンジの顎に手を添えた。
(どうせ、外では嫌だの、服が皺になるだの言うだろうが・・・)
そんな事はもうどうでも良い。
ここで、最後までやらないまでも、この森の中で喘ぐサンジの顔が見たいだけだ。
2人は喧嘩の発端になった奇妙な根っこの上でお互いを愛撫した。
熱い汗と二人の精が其の根に落ちたとき、それは不気味に蠢いた。
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