高松塚古墳の課題
参考資料:日本の歴史、日本の時代史
石室・壁画
白虎
玄武石室は、平面の内寸は103.5cm×265.5cmで、高さが113.4cmある。
壁画は、北壁の中央には玄武が、南壁に朱雀のはずだが、鎌倉時代の盗掘にあい、上の方に大きな穴が開けられている。東壁の中央に青龍が、その上の方に太陽、そして、左側に女子群像が、右側には男子群像が描かれている。また西壁の中央に白虎が、その上の方に月が、そして、右側に女子群像が、左側には男子群像が描かれている。
人物群像の持ち物が『貞観(じょうがん)儀式』にみられる元日朝賀の儀式に列する舎人(とねり)ら官人の持ち物と一致する。この元日朝賀の儀式には日月・四神の幡も立てられる。
天井には天体図や星宿が描かれており、極めて精度の高いものである言う。中国の唐の壁画墓の影響が見られるという。
壁画の劣化、今後の課題
発掘調査以降、壁画は現状のまま現地保存することになり、文化庁が石室内の温度や湿度の調整、防カビ処理などの保存管理、そして1981年以降、年1回の定期点検を行ってきた。しかし、2002年〜2003年にかけて撮影された写真を調べた結果、雨水の浸入やカビの発生などにより、壁画の退色・変色が顕著になっていることが2004年(平成16年)に明らかにされた。
この事態を受けて、文化庁により「国宝高松塚古墳壁画恒久保存対策」を目的とした古墳の発掘調査が始まり、埋もれていた周溝などが発見されて古墳の本来の形状が明らかにされつつある。また、墳丘からは過去の地震によると思われる亀裂が多数発見されており、虫や雨水の進入経路になったと考えられている。
壁画の劣化防止策や保存方法について種々の検討が続けられた。特別史跡(古墳)と国宝(壁画)のいずれを守るのか議論が行われたが、2005年(平成17年)6月に文化庁は現況保存を断念し、石室の解体補修を決定した。一部にはキトラ古墳同様に壁画を剥ぎ取って古墳外で保存すべきだという意見もあるが、計画では修復後に現地に戻すことになっている。