雅楽
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概説
 多くは器楽曲で宮廷音楽として継承されている。現在でも大規模な合奏形態で演奏される伝統音楽としては世界最古の様式。但し、雅楽本来の合奏形態としては、応仁の乱以降、徳川幕府が楽師の末裔をあつめて再編するまでは、100年以上断絶していたので、平安時代の形態をどこまで継承しているかは疑問である。
 篳篥のカタカナで記されている譜面を唱歌(しょうが : メロディーを暗謡するために譜面の文字に節をつけて歌う事)として歌うときにハ行の発音をファフィフフェフォと発音するなど16世紀以前の日本語の発音の特徴もそのまま伝えられており、全体的にもかなり忠実に再現されているのではないかということが推測される。 楽琵琶の譜面のように漢字で記されるものは、中国の敦煌で発見された琵琶譜とも類似点が多く、さらに古い大陸から伝わった様式が多く継承されている。
 もっとも重要な史料としては、豊原統秋(1450〜1512)が応仁の乱により雅楽等の記録が散逸することを憂えて著した「體源抄」があげられる。笙の楽家の統秋が、笙を中心とした雅楽、舞楽についての記録をまとめたもので、古い時代の雅楽についての貴重な記録である。


歴史
 中世以前に中国、朝鮮半島、南アジアから伝わった儀式用の音楽が元になっている。中国に於いて雅楽といえば儀式にもよおされる音楽であったが、現在日本の雅楽で演奏されている曲目のなかで中国から伝わったとされる唐楽は、唐の燕楽といわれる宴会に演奏されていた音楽がもとになっているといわれている。日本と同様に中国の伝統音楽をとりいれたベトナムのニャーニャク(nha nhac漢字で書けば雅楽)や韓国につたわる国楽とは兄弟関係にあたるといえる。楽曲のカテゴリーとしても、唐楽、高麗楽、林邑楽(ベトナムの音楽)等国際色豊かな名前が伝わっており、大陸の音楽伝来以前からの古来の音楽の要素も含まれている。
 近代以前においては、最古の様式を伝える四天王寺の天王寺楽所(大阪)、宮中の大内楽所(京都)、南都楽所(奈良)が三方楽所とされた。これらの楽所は、近代になると東京に呼ばれ現在の宮内庁の楽部の基礎となるが、それぞれの楽所の伝統は、それぞれの地で続いている。
 その他にも民謡や声明とも相互に影響がみられ、日本独自の様式が作られてきた。現在、100曲ほどが宮内庁式部職楽部に継承されている。


雅楽の様式
 曲には序(じょ)・破(は)・急(きゅう)があり、西洋音楽で言う第一楽章、第二楽章、第三楽章を言う。 曲想としては序は一番ゆったりした流れで、自由な緩急で旋律を演奏し、 破はゆったりした流れだが、拍子が決められていて一小節を八拍として演奏する。 急はさっくりした流れとなり、拍子は一小節を四拍として演奏する。 但し、演目によっては必ずしも急が速いテンポとはならないので、あくまでも一組の曲の3番目ぐらいの意味である。


雅楽の曲の分類と演目
 日本に古くから伝わるもの
   神楽歌
   人長舞(にんじょうまい)
   駿河舞
   東遊(あずまあそび)
   大和歌
   求子舞(もとめごまい)
   大和舞
   久米歌
   久米舞
   大歌(おおうた)
   五節舞(ごせちのまい)
   誄歌(るいか)

 日本国外から伝来したもの
   唐楽…中国、天竺(インド)、林邑(南ベトナム)系のもの
   高麗楽…朝鮮、渤海(中国の東北地方)系のもの
   平安時代にできた歌曲
   催馬楽(さいばら)
   朗詠
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文学部地理学科 山田