西山記者賠償請求棄却 :2007.3.29
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沖縄返還交渉に関する日米間の密約文書を入手し、国家公務員法違反で
起訴され有罪となった事件がある。有罪となったのは機密文書を渡した
女性外交事務官と入手した毎日新聞西山記者である。
2000年に米公文書が明るみに出たが、その後も日本の高官が密約を否定
するのは、ジャーナリストとしての名誉を毀損していると訴えた。しかし、27日に
東京地裁は「除斥期間」を適用し、請求を棄却した。除斥期間は「不法行為から
20年が過ぎれば自動的に損害賠償請求権は消滅する」というものだ。
この事件は日米間の密約を暴こうとした公務員でもない新聞記者が、国家公務
員法違反で有罪となった事件だ。密約が男女関係の問題にすりかえられてしまった
のだ。
なぜ密約が必要になったかというと、沖縄返還交渉において日本側が3億2千万
ドルを支払い、アメリカ側は復元補償費を400万ドル支払うことになったが、アメリカ
政府は議会に沖縄返還に際して支出は一切しないと説明したため、日本が支払う
お金に上乗せした形にしたのだ。アメリカでは議会への説明の必要性が重視され、
公文書も年月が経てば公開される。日本は議会への説明もなく、将来にわたっても
情報が公開されることがない。これは35年経った今も全く変わっていない。
今の裁判所で損害賠償が認められたり密約の存在自体を確認したりすることは
ありそうに思えない。しかし、この事件を忘れないために何らかの形で訴えを
続けていってほしい。
この事件に関しては下記ご参照
「密約 外務省機密漏洩事件 (澤地久枝)」