乗馬か、競馬か?

 日本でも近年馬にかかわる人口は乗馬・競馬にかかわらず増加の傾向にある。だが、それでも乗馬人口と競馬ファンとを比べると圧倒的に乗馬の側は分が悪い。

 乗馬と競馬では大きく異なる。社会における役割も人々の接し方も違ってくる。しかし、どちらも“馬と人との共同作業”っというところには共通点があるのではないだろうか。

 競馬においては、劇的な勝利の瞬間や名馬の引退シーンなど、数々の忘れられない感動のシーンがあったであろう。数々のドラマが生まれており、皆さまがそれぞれの感動シーンをお持ちでしょう。

 しかしそれらと同様のシーンは、乗馬にももちろんある。ただ残念なことに、日本では競技観戦が競馬ほどポピュラーではないために、それが関係者の間でしか分からないという事である。

 

 

 

 一組の人馬の成功や挫折には、多くの人の血と汗と涙がある。どんなにセンスのある選手・騎手でもその人の努力だけでは報われないものである。異なる舞台ではあっても、馬のために汗水流して働くたくさんの人々がいる。そして、この想いにこたえる心やさしい馬たちがいる・・・。

 乗馬であっても、競馬であっても、一瞬の勝負のために長い年月をかけて準備するのはどちらも同じである。それはこれら2つの世界に共通した“夢”があるからである。

 2つの世界に共通した夢・・・それは、「自分の手をかけた馬が最高の舞台で素晴らしいドラマを演じてくれる」ことなのである・・・。

 馬術競技でも競馬でもまずは、馬たちの、そしてまた彼らを取り巻く選手・騎手を含むたくさんの人々のがんばりを見てほしい。そうすることであなたも、さらに熱い感動のシーンに出会えることだろう。その時には心から盛大な、盛大な拍手を送りたい。