技を魅せる、乗馬

 

 乗馬の魅力は「人馬一体」にあると言われている。しかしその「人馬一体」は多くの騎手の望むほど、簡単に達せられるものではないのである。

 乗り始めたすぐではまず無理である。扶助(馬に出す指示)をしっかりとできなければ馬も動きようがないし、その前に馬にしがみついているだけで精一杯だろう。

 一方、どんなによい選手であっても、何も知らない若い馬であるとこれまたお手上げである。つまり、馬が育ち、人が育ってはじめて「人馬一体」がめざせるのである。

 馬術競技は馬と人ができ上がるまでに十何年という修業と調教が必要になってくるのである。

 それは馬術競技を行う馬にとって馬体の柔軟性は必須の条件であり、また障害競技に出場するにも回転の多いコースの中にそびえる障害をクリアするには競走馬ほどのスタミナは要求されないものの、曲線的な動きのなかでの優美さとなめらかさも求められるからである。

 馬術の魅力とは、随所に光る“乗り手と馬の技”にあるのではないだろうか。

 

 

パワーを見せる、競馬

 

 競馬の魅力は何と行っても、最終コーナーをまわった後の直線での勝負にあるだろう。通に言わせれば他にも見るべき所はあるのだろうが、初めて見る直線での競り合いほど興奮するものはない。それまで後方に控えていた馬が先頭に踊り出た時、その馬の発散するパワーを感じるだろう。

 競走馬はあまりに一回のレースでエネルギーを消耗するので、そのあと何日間かはレースに使えない。

 また、このようなエネルギーの使い方は若いうちだけである。だから、競走馬は3歳、人間でいう10代前半という若いうちにデビューし、中には9歳まで走る馬もいるが多くは6歳くらいで引退するのだ。

 競馬の魅力とは、直線での“パワーの爆発”にあるのではないだろうか。