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No.3 耐力壁と接合金物について

2002年8月


補足説明

前記の耐力壁の説明で不足していた点について補足説明を行なう。

阪神・淡路大震災で、多くの木造住宅が倒壊に遭い、それが原因で多くの命が犠牲となった。

最低の基準を定め、国民の安全・財産をを確保する為の建築基準法であるが、木造建築物の構造規定・計算方法等は、他の構造物(鉄筋コンクリート造・鉄骨造等)に比べて、曖昧な個所・根拠のない個所等の問題点が多分にあった。



旧建築基準法の問題点を以下に述べる。

@「壁倍率」の基準耐力が、雑壁を含めて200kg/m(1倍で1mあたり負担できる力)としていた点

(耐力壁自身で負担する水平力は、その2/3(130kg/m)で残りの1/3(70kg/m)は他が負担する(「雑壁効果」)としたが、その仕様や定量的な規定もなかった。)


A地震に対する必要壁量において、「総2階建て」が想定されておりセットバックやバランスの悪い壁配置による建築物等が適合しない

(その為、壁量を満足した建物であっても偏った壁配置の為、建物がねじられて倒壊した場合があった。)


B同様に必要壁量において、根拠となる固定荷重(屋根・壁荷重)が低め設定されており、特に屋根形状が複雑なものや本瓦葺(葺土あり)+土壁等の伝統工法による建物の場合は、過小評価となっている。


C地震における必要壁量において、根拠となる固定荷重に積雪荷重が含まれておらず、過小評価となっている。

(しかしながら、多雪地域の地震の被害がさほど大きくないのは、断熱対策にによる狭小の開口面積等が、功を奏していると思われる。)


D仕口・継手の部分において、その存在応力を伝えるように「緊結しなければならない」が、その具体的な構造方法が規定されなかった。

(その為、接合部が壊れ、軸組がバラバラになり、倒壊の原因の1つとなった。)


E風荷重の必要壁量において、風圧力が60√Hではなく、40√Hにて風荷重が算出され、他の構造(RC造・S造)と一致しない。



 

以上のような問題点を含む「壁倍率・壁量計算」という簡易な手法により、木造建築物の構造の安全性が確保されたかのように勘違いされていた。

また工学的に基づいた構造計算にて算出される場合の方が、壁量が増える結果となり「木造の構造計算」の重要性がますます阻害されていた。



 

以上が旧建築基準法における壁量の問題点である。

 

また、耐力壁の実験による壁倍率の算出方法においても、終局耐力等を考慮した新しい評価方法が用いられるようになった。


新しい評価方法をちょっとのぞいてみる?

 
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 ©Tahara Architect & Associates, 2003