前へ← →次へ

柱カウンターウェイト検証実験(予備実験)


2.実験概要

2−5.実験方法

建物内部に組み込まれた鉛直構面に水平力が作用し、柱に上向きの力 V が生じるときの力の釣り合いにより、破壊形式は以下のように分類できる。


i)耐力壁の耐震要素自体が壊れる場合(柱は引き抜けない)

   VW ≦ N + R ---B

  VW:耐震要素自体が破壊するときに柱に生じる引っ張り力

  N:柱頭に作用する下向きの力(≫柱の長期軸力)

  R:柱脚に作用する下向きの力(柱脚金物の終局耐力或いは基礎の抵抗力)


N は横架材を剛と仮定して、壁の上部の横架材(継ぎ手位置まで)全体を持ち上げるのに必要な力であり、柱頭が引っ張りとなる柱と横架材に取り付いた金物の抵抗力や、直交する梁に取り付く柱の柱頭、柱脚の金物の抵抗力や、直交する梁に取り付く壁の浮き上がりに対する抵抗力、及び、上階の壁により生じる転倒モーメントを考慮して、力の釣り合いから求められる。

この破壊形式の場合、柱の左右に取り付く耐震要素の耐力は、耐震要素の保有する耐力に等しい。

柱の左右に取り付く耐震要素の変形能力は、耐震要素の限界変形角に等しい。


ii)柱脚金物の耐力或いは基礎の浮き上がりで破壊する場合(柱は引き抜かれる)

   V' = N + R ---C

  R:柱脚金物の終局耐力或いは基礎の抵抗力(柱脚金物のない場合は、R=0)


この破壊形式の場合、i)と比べると、柱の引き抜けに対する抵抗力(柱カウンターウェイト)は ΔV= VW ‐ V'だけ不足していることになる。

柱カウンターウェイトの不足分ΔVによって、柱の右側の耐震要素により生じる上向きの力が VT' = VT - ΔV に低減される。そのため、柱の右側の耐震要素の終局せん断耐力は QUR' = VT × W / H < QUR となる。従って、柱1本に浮き上がりが生じる場合、浮きがりのない場合の耐力よりも QUR = ΔV × W / H だけ耐力が低下することになる。


前へ← →次へ



 ©Tahara Architect & Associates, 2004