光明寺 耐震改修工事6.耐震補強案

6.耐震補強案

6-1 現況の耐震性能断

「既存木造建築物の耐震診断基準(旧建設省監修)」に準拠して診断を行った結果、現況の本建物の耐震性能は、下記のようになった。



「延焼等危険建築物の判定」

X方向(東西方向):合 格( 1.4 = Eu / Ed ≧ 1.0 )

Y方向(南北方向):不合格( 0.7 = Eu / Ed < 1.0 )



中地震(気象庁震度階5強程度)に対して、東西方向に地震力が作用した場合は倒壊しない(耐震性能が地震力を上回った)が、主に南北方向に地震力が作用した場合は倒壊する(耐震性能が地震力を下回った)と云う判定結果となった。

但し、自然現象の地震がどの方向から生じるかは不確定なので、総合的に判断すると本物件は中地震対して全壊は避けられるが、一部倒壊すると思われる。



「建替促進建築物の判定」

X方向(東西方向):不合格( 0.4 = Eu / Ed < 1.0 )

Y方向(南北方向):不合格( 0.2 = Eu / Ed < 1.0 )



大地震(気象庁震度階6強〜7)に対して、「倒壊(全壊)することが確実」であると云う判定結果となった。(耐震性能が地震力を大幅に下回った)

国で定めた構造安全性能の最低基準(建築基準法)では、大地震に対して建物が傾き壁に大きなひび割れが生じることや建築設備等の損傷の危険性を認可(経済性等を考慮)している。但し人命と最低限の財産については、保全を確保することが定められている。

その国が定めた最低の安全基準を満足することが「 Eu / Ed ≧ 1.0 」に該当するが、X・Y 両方向ともその半分にも満たない。

建物は、地震力が作用すると耐力の弱い個所から壊れる。また木造の場合、柱・梁の接合部が地震による変形ではずれて(接合金物が無い為と特に)倒壊する例が多い。

本物件の場合、地震力に抵抗する壁が全く無い本堂の前面では、重い屋根を支えきれずに柱が変形し倒れて屋根が崩れて落ちてくるような被害が想定される。



本物件は、公共の建築物でもなく不特定多数の人間が常時在中することもあまり想定されないが、地域的には重要な建築物となり金銭には置き換えられない歴史的価値もあるので、出来るかぎりの耐震補強が望まれる。


 ©Tahara Architect & Associates, 2003