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7月20日未明におきた九州の土石流災害(その2)



(その1)の続き

今回の土石流災害で言えることは九州に限らず全国的に言えることではあるが、日本のような急傾斜地に無理に植林しすぎた結果であり、その様な政策をした国の問題でもあると思われる。

戦後から高度経済成長期において都市部で住宅需要が急激に拡大し、そのために木材が必要となって木材価格が上昇し、その対策として外材を輸入することにした政策はその場しのぎだったのではないかと思う。

しかしその反面、日本の輸出立国として車や機械、電気製品などの産業が発達し、その輸出と引き換えに外国からの輸入を一次産品で帳尻を合わせたと言おうか、その経済の均衡を保って相手国からの輸出超過をかわしてきたと思われる。

その結果が今の輸入材であり、このような災害をおこすきっかけとなった山林放置でもある。

ちょうど植林後50〜60年となった杉は山全体を覆い尽くし、日光も地面まで届かなくなっており、管理の行き届いた山に比べ保水限界能力はかなり低いと思われる。

このような災害をどの様に防げるかを考えてみる。

これは一人の思い付きではあるが、次のようにしてみてはどうだろうか。

(1)木造住宅をつくる場合には、国産材を必ず利用する。

(2)国産材の切った跡地(皆伐跡地)には中腹から山頂にかけては針葉樹(杉)等を植林せず、なるべく保水力のある広葉樹を植林し、中腹から麓にかけては針葉樹(杉)等を植林する。

このようにする事により、国産材の使用量が増加し、山林の管理がきちんと行われるようになると思われる。

また、中腹から麓にかけての条件に杉などを植林することによって、上部からの栄養分が流れてくるので木がよく育ち、さらに伐採や搬出等がしやすくなる。

このような対策はあくまでも国が考える事であるが、こうすることで国産材が外材に対抗することがができるようになるのではないだろうか?

設計者や施工者も、木造住宅を建てようと考える一般の施主に、外材で家を建てるよりも国産材で家を建てる事により、木材価格が安定して山林の管理が適切に行われ、その結果このような水害対策にもなることを理解してもらい、国産材を活用する利点をもっと広く人々に知ってもらうよう行動してほしい。


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 ©Tahara Architect & Associates, 2003