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7月20日未明におきた九州の土石流災害(その1)



20日未明に多数の犠牲者を出した熊本県水俣市の土石流災害で、雨量情報の伝達ミスや、警戒体制の遅れがマスコミ等で指摘されている。

しかし、土石流災害が発生した要因の根本的な部分が指摘されていない。

今回のこの土石流災害のメカニズムを考えた場合、巡っていくと山林管理の問題にも関係があると思われる。

まず災害の現地は、テレビで見る限り、杉の植林された人工的な山林で、山全体を杉で植林していた。

山の保水能力は、このような針葉樹の山に比べて、広葉樹の山の方が大きく、その差はかなりあると言われている。

今回の現場の山はまさにそれに該当する山であったと言える。

また杉が密植された山では、一番最初のコラムで述べた通り、木材価格、そして日本経済が低迷した中、林業の置かれている立場から考えても分かるように、間伐等の山林管理が十分に行われていない。

その結果今回のような被害が引き起こされたと言っても過言ではないと思う。

これは、日本全国の山林地域で起こりうる可能性を秘めており、適切な山林管理及び経営が行われるようにならなければ、根本的な解決方法は見えてこないであろう。

国の考える対策は、すぐに安易な方法として砂防ダムや三面張りの河川改修などで、土建業者への公共事業のバラマキを考えることばかりである。

もう少し根本的な要因に目を向けてもらいたいものである。

今回のこの災害で亡くなられた方々に、深くご冥福をお祈りいたします。


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 ©Tahara Architect & Associates, 2003