道後温泉・古湧園 (愛媛県)
道後温泉がある松山市と縁(ゆかり)のある文学者が2人いる。
東京帝国大学で同級であった近代俳句の父・正岡子規と文豪・夏目漱石である。

正岡子規は青春時代の18歳まで松山市に在住し育った。

一方の夏目漱石は、大学卒業後、明治28年4月からたった1年余、愛媛県尋常中学校(松山中学校)の英語科教師として在住したに過ぎない。従がって、正岡子規の方が、遥かに松山市との関係が深い。

松山市としては、この点に敬意を表して、昭和56年、道後温泉の手前に「松山市立子規記念博物館」を建設している(見学しました)。しかし、こと観光・温泉(道後)に関しては、夏目漱石(名作「坊っちゃん」)の貢献度合いがはるかに強い。


・市内を走る蒸気機関車スタイルの路面電車は「坊ちゃん列車」
・駅前にある時計台は「坊っちゃんカラクリ時計」

道後温泉のシンボル道後温泉本館の3階奥に「坊っちゃんの間」がある。
多くの旅館で、「坊っちゃん」に登場する「マドンナ」に扮した女性が宿泊客を送迎する。
夏目漱石
日本三古泉の一つ、道後温泉の歴史は古い。それも伝承でなく、日本書紀・万葉集・源氏物語などの古書にその名が登場している。
時代が下って明治時代には、上記の通り夏目漱石がここを愛して止まなかった。


現代の道後温泉は、拡大した松山市の中心部に呑み込まれ、部屋数が100室前後の巨大旅館・ホテルが狭い地域に立ち並ぶ都市型大温泉地である。

ふだん宿泊する旅館は、山腹とか谷間(たにあい)の渓流沿い等、自然豊かな立地がほとんどだけに、両側2車線の交通量が多いビル街を通っての温泉地到着には戸惑った。
しかし、道後温泉には、歴史ある古湯の伝統と文化を今に伝える2つの共同浴場があり、これが高層・大型の旅館が立ち並ぶ温泉街に、情緒と癒しを与えている。

特に、国の重要文化財に指定された道後温泉本館は、道後温泉のシンボルだ。
明治27年に建設された3層楼、入母屋造りの建築は、力強くどっしりとした風格を誇っている。
3階の屋根の上に乗る楼閣は、振鷺閣(しんろかく)と呼ばれる赤いギヤマンを張り巡らせた太鼓櫓で、早朝・昼・夕に時を告げる刻太鼓の音が湯の町に響く。
旅館の宿泊客が、浴衣姿に旅館が用意した竹篭に洗面道具一式を入れて、次々と館内に入っていく姿は、道後温泉ならではの風景である。
もう一方の「椿の湯」は温泉街の目立たないところに立っている。道後温泉本館が観光客の入浴が多いのに対して、こちらは地元の方たちが多く利用する。
コンクリート造りの大きな蔵を想像させるような建物だが、大浴場は本館に似たアンティックな造りである。しかし面積はこちらの方がはるかに広く開放的だ。
時間があれば、本館とともに椿の湯もぜひ入浴していただきたい。
所在地 : 松山市
住 所 愛媛県松山市道後鷺谷町1−1
電 話 089−945−5911
交通機関 松山自動車道松山ICから約10km
JR松山駅から伊予鉄道城南線道後温泉行きで約25分道後温泉駅下車
施 設(日帰り) ラウンジ・ロビー、駐車場(80台)
宿 泊 和室(BT83)、洋室(BT4)  オフシーズン 12,600円〜(詳しくは書き旅館HPを参照)
泉 質 単純温泉
適応症 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照)
入浴時間(外来) 12時〜20時(要予約)
定休日 無休
入浴料金 1,000円(タオル・バスタオル付き)
入浴施設 内風呂男女交代制3、露天風呂男女各1
浴室備品(外来) シャンプー、ボデイソープ、ドライヤー、ロッカー、タオル、バスタオル
観光スポット 松山城・愛媛県美術館・松山市立子規記念博物館・子規堂・道後温泉散策
お土産・食事 道後温泉本館周囲に土産物屋・食事処多数
近くの温泉 道後温泉旅館立ち寄り湯・道後温泉本館・椿の湯・奥道後温泉・権現温泉・たかの子温泉
松山市HP
旅館協同組合HP
古湧園HP
http://www.city.matsuyama.ehime.jp/
http://www.dogo.or.jp/
http://www.kowakuen.com/
雑記帳 共同浴場の道後温泉本館・椿の湯については別掲。
重要文化財・豪壮な入母屋造りの道後温泉本館正面。
データは変更されている可能性もあります。事前にご確認ください。
「道後温泉本館」の記事と同文
坊ちゃん列車
温泉名 : 道後温泉
もう1つの共同浴場の「椿の湯」。こちらの方は地元の人が多い。
施設名 : 古湧園 (宿泊日:2005.3.10 再入浴 5.11)
旅館・ホテルが30数軒もある道後温泉で、「古湧園」を予約した理由は次の通りだ。
●一流旅館でも循環湯が多い道後温泉にあって、湯舟の一部でも掛け流しであること。
●リーズナブルな宿泊料金であること。(一部屋2人宿泊で@13、275円 BT付 電話予約)

古湧園は、道後温泉の中心街にある道後温泉本館から
坂道を登って5分ほどの高台にある高層の旅館で、部屋からの見晴らしがいい。建物はかなり前に建設されたが、平成10年に全面改装されているので、ロビーや部屋には古さを感じない。夕食は部屋食で、料理は懐石でごく標準的なもの。風呂は1階にあり、かなり大きな大浴場(湯舟2ヶ所)に加えて、2005年4月末に、ヒノキの樽風呂が露天として完成した。湯はさらりとした単純泉である。宿泊料金からすれば、部屋・料理・サービス・風呂とも満足できる水準であった。
宿泊料金の割には品格ある外観。
玄関横にある足湯
広いロビー・ラウンジ禁煙でコーナーに喫煙所がある。
再入浴時に完成していた露天風呂木の香が心地よかった。
共同浴場へは、この籠に洗面道具を入れて出かける。
一部